がん経験者・がん治療中は献血できる?治癒後5年の考え方と、できないケース
公開 2026/10/10
- 治療中・治癒後5年未満は不可。治癒後5年を経過すれば献血できる可能性がある(日本赤十字社)
- 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの造血器腫瘍は、経過良好でも献血できない
- 抗がん剤は最終使用から5年、治療用ホルモン薬は治療終了後1か月の延期がある
- がんの治療で輸血を受けた人は、期限なく献血できない(自己血輸血は除く)
- 健康診断でがんを想定した検査を受けたら、結果が出るまで献血は見送り
- 献血の検査項目にがんの検査は含まれない。献血でがんは見つからない
状況別の早見表
| あなたの状況 | 献血 | 補足 |
|---|---|---|
| がんの治療中(手術待ち、抗がん剤、放射線、ホルモン療法など) | 不可 | 治療が終わってから5年が基準 |
| 治癒後5年未満 | 不可 | 部位や病期による区別は公式に示されていない |
| 治癒後5年以上、再発なし | 可能性あり | 問診で経過を伝え、健診医が判断 |
| 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの既往 | 不可 | 経過良好でも不可(造血器腫瘍) |
| 治療中に輸血を受けた | 不可(期限なし) | 自分の血液を戻す自己血輸血は除く |
| 抗がん剤を使った | 最終使用から5年 | がん自体の「治癒後5年」とあわせて確認 |
| 治療用のホルモン薬を使っている | 使用中は不可 | 治療終了後1か月の延期 |
| 健診で「がんの疑い」、精密検査待ち | 結果が出るまで不可 | 問題なしと確認できてから |
| 良性腫瘍と診断された | 公式に個別記載なし | 当日の健診医が判断。診断名と治療内容を伝える |
「治癒後5年」の考え方
日本赤十字社の公式ページの表現は「悪性腫瘍(がん)の診断を受けて治療中の方、治癒後5年経過していない方は献血をご遠慮いただいています」です。何をもって「治癒」とし、どの日から5年を数えるかを具体的に定めた公式記載は見当たりません。実際には、次の情報を問診で伝え、健診医に判断してもらう流れになります。
- がんの種類・部位と、診断された時期
- 受けた治療(手術・抗がん剤・放射線・ホルモン療法)と、それぞれが終わった時期
- 主治医から「治療終了」「経過観察」などと言われた時期と、現在の通院の状況
- いま使っている薬(お薬手帳があれば持参)
部位や病期(早期がん、上皮内がんなど)で基準を分ける記載も公式にはありません。「早期だったから大丈夫」と自己判断せず、内容をそのまま伝えてください。来場前に最寄りの血液センターへ電話で確認しておくと、会場で見送りになる無駄足を防げます。
ケース別:あなたは献血できる?
白血病など血液のがんは期限なしで不可
造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)の既往がある方は、経過良好でも献血をご遠慮いただくのが日本赤十字社の基準です。ほかのがんのような「5年たてば」という道はありません。日本赤十字社は同じページで、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患がある方にも献血をご遠慮いただいています。病歴ごとの扱いは「病歴と献血」、持病の薬との関係は「持病と献血」へ。
抗がん剤・ホルモン薬・痛み止め
血液センターの服薬基準では、抗がん剤は5年の延期、ステロイドや性ホルモン剤などの治療用ホルモン薬は治療終了後1か月の延期です。がん治療の後に続けている薬がある場合は、薬の名前で確認してください。種類別の一覧は「薬を飲んでいても献血できる?」、痛み止めは「痛み止めと献血」へ。
健康診断・がん検診の前後
日本赤十字社のQ&Aでは、健康診断の前後の献血について「悪性腫瘍(がん)を想定した検査の場合は結果が判明するまで献血をご遠慮ください」としています。がん検診で「要精検」と言われ、精密検査の結果を待っている間は見送りです。問題がないとわかってから献血してください。健診と同じ日の献血の注意は「健康診断の後に献血できる?」へ。
5年たっても、ほかの理由で見送りになることがある
がんの基準を満たしても、治療の内容によって別のルールがかかります。来場前にあてはまるものがないか確認してください。
| 治療で経験したこと | かかるルール |
|---|---|
| 開胸・開腹・開頭を要する大手術 | 手術から6か月は見送り。がんの「治癒後5年」とは別に数える(手術・骨折の後の献血) |
| 手術や化学療法の際の輸血 | 期限なく献血できない。自己血輸血は除く |
| 抗がん剤 | 最終使用から5年 |
| 治療用のホルモン薬・ステロイド | 治療終了後1か月 |
| 治療の影響で貧血が続いている | 当日のヘモグロビンが基準(400mLは男性13.0・女性12.5g/dL以上など)に届かなければ見送り(ヘモグロビンが足りないと言われたら) |
| 定期検査の胃カメラ・バリウム検査 | 受けた当日は献血できない |
献血の検査でがんは見つかる?
見つかりません。日本赤十字社の「献血の同意説明書」に書かれた検査は、血液型(ABO型、Rh型、HLA遺伝子型等)、不規則抗体、梅毒、B型・C型・E型肝炎ウイルス、HIV、HTLV-1、ヒトパルボウイルスB19、ALT(肝機能)などで、がんの検査は含まれていません。献血者に通知される生化学検査や血球計数の結果も、がんの有無を調べるものではありません。検査結果の見方は「献血でわかる検査」へ。
海外では待機期間を短くした例も
オーストラリアの血液事業を担うLifebloodは、2025年7月25日、がんが完全に回復した人の献血までの待機期間を5年から「治療終了後12か月」に短縮すると発表しました(寛解を示す医師の文書が必要、血液のがんの経験者は引き続き不可)。根拠として、大規模研究でがんは輸血で伝わらないことが確認されたと説明しています。日本の基準は2026年10月時点で「治癒後5年」のままです。日本で献血するときは日本の基準で判断されます。
献血できない間も関われること
日本赤十字社によると、輸血用血液の多くはがんや白血病などの治療に使われています。治療中や5年の待機期間中でも、家族や友人に献血をすすめる、付き添いで一緒に行く、自分の経験を伝える、献血推進のボランティアに参加するといった形で関われます(献血のボランティアに参加するには)。
よくある質問
Q. がんの手術を受けて5年以上たちました。献血できますか?
A. 治癒後5年を経過して再発がなければ、献血できる可能性があります。ただし白血病などの造血器腫瘍、治療中の輸血歴がある場合は献血できません。治療の経過と現在の薬を問診で伝え、健診医の判断を受けてください。
Q. 「治癒後5年」はいつから数えますか?
A. 数え始めの日を具体的に定めた公式記載は見当たりません。診断時期、治療の内容と終了時期、主治医に経過観察と言われた時期を問診で伝えてください。健診医がそれをもとに判断します。
Q. 早期がんや上皮内がんでも5年待つ必要がありますか?
A. 日本赤十字社の基準は病期で区別していません。早期だったかどうかを自分で判断せず、診断名と治療の時期をそのまま伝えてください。最終判断は当日の健診医です。
Q. 良性の腫瘍を手術しました。献血できますか?
A. 良性腫瘍について個別に定めた公式記載は見当たりません。診断名・手術の時期・現在の通院の有無を問診で伝え、健診医の判断を受けてください。事前に血液センターへ電話で確認することもできます。
Q. 献血すればがん検診の代わりになりますか?
A. なりません。献血の検査は血液型・感染症・肝機能などで、がんの検査は含まれていません。がん検診は自治体や医療機関で受けてください。
Q. 家族ががんの治療中です。献血は役に立ちますか?
A. 役に立ちます。日本赤十字社によると、輸血用血液の多くはがんや白血病などの治療に使われています。抗がん剤治療で血小板が減った患者さんには血小板製剤が使われ、有効期間が短いため継続的な献血が必要です。
Q. 抗がん剤は使わず、手術だけでした。それでも5年待ちますか?
A. 待ちます。「治癒後5年」はがんそのものの基準で、抗がん剤の5年延期とは別です。手術だけで治療が終わった場合も、治癒から5年を過ぎてから健診医の判断を受けてください。
- 日本赤十字社「特定の病気にかかったことのある方」(確認 2026/10/10)
- 日本赤十字社「よくあるご質問」(確認 2026/10/10)
- 日本赤十字社「献血の同意説明書」第5版(PDF)(確認 2026/10/10)
- 岩手県赤十字血液センター「薬の服用と献血ができるまでの期間」(PDF)(確認 2026/09/05)
- 日本赤十字社「輸血歴・臓器移植歴のある方」
- Australian Red Cross Lifeblood「Changes to blood and plasma donation rules announced for cancer survivors」(2025年7月25日)(確認 2026/10/10)
次にすること
関連ガイド
- 心臓病・がん・脳卒中・てんかん・血液疾患・梅毒の既往と献血|病歴別の公式基準と「治ったら」の扱い
- 持病があっても献血できる?糖尿病・高血圧・脂質異常症・ぜんそく・アトピー・甲状腺・痛風・うつ病など病気別
- 薬を飲んでいても献血できる?薬の種類別一覧【当日OK・前日まで・3日・不可・延期】
- 輸血を受けた人はなぜ献血できない?期限なしルールの理由・自己血輸血・臓器移植・血漿分画製剤との違い
- 健康診断・胃カメラ・バリウム・人間ドックの後に献血できる?検査別の答えと「要精検」の扱い
- 献血でわかる無料の血液検査15項目|結果が届く時期・見られる項目・感染症検査の通知ルール・健診代わりにならない理由
- 血小板献血とは?所要時間・条件(女性54歳まで・血小板数15万)・流れ・誰に使われるか・有効期間6日
- 献血された血液はどう使われる?輸血の用途・がん治療が最多・血液製剤の種類・有効期間・献血から患者さんに届くまで