持病があっても献血できる?病気別の公式の扱い

公開 2026/06/10・更新 2026/10/10

持病があっても献血できる病気は多くあります。判断の軸は「採血が本人の健康に悪影響を与えないか」と「薬の成分が患者さんに影響しないか」の2つ。高血圧や脂質異常症、痛風、軽症のアトピーは治療中でも献血でき、糖尿病の薬物治療中、抗凝固薬の服用中、心臓病、てんかん、抗甲状腺薬の服用中などは献血できません。
⚡ 30秒でわかる要点
📑 目次
  1. 判断の軸は2つ
  2. 病気別の一覧
  3. 「持病=献血できない」ではない理由
  4. 問診での伝え方
  5. 主治医に相談したほうがよい場合
  6. よくある質問

判断の軸は2つ

厚生労働省の問診票解説によると、病歴による献血の制限は「採血の際に副作用が起きたり、献血者の健康に悪影響を与えるおそれがある」ことを避けるためのものです。加えて、薬によっては成分が輸血を受ける患者さんに影響する可能性(例:胎児への影響が指摘される薬)があるため、薬の観点でも判断されます。血液センターの服薬基準は「原因となっている疾患の状態により判断する」という考え方を随所に示しており、病名だけで一律に決まるのではなく、病気のコントロール状態と薬の種類で決まるのが実際です。

病気別の一覧

岩手県赤十字血液センター「薬の服用と献血ができるまでの期間」(2022年11月版)・日本赤十字社の公式情報より。最終判断は当日の健診医
病気扱い補足
高血圧可降圧薬は血圧が安定し合併症がなければ複数剤でも可。服用開始直後や量の変更直後は慎重に判断(血圧と献血)
脂質異常症(高脂血症)可スタチンなど治療薬服用中でも可。抗PCSK9抗体(レパーサ)は3か月不可
痛風・高尿酸血症可ザイロリック、フェブリクなど服用中でも可。発作治療薬コルヒチンは最終服薬日を含む3日不可。発作中は体調面で見送り
糖尿病薬物治療中は不可インスリン・経口血糖降下薬(ジャヌビア、フォシーガ等)を使用中は不可。食事療法のみの場合は問診で相談
ぜんそく条件つき1か月以上発作がなくコントロール良好なら可能な場合あり。発作がある・コントロール不良・治療用ステロイド使用中は不可。吸入薬は種類により判断
アトピー性皮膚炎軽症なら可採血部位(ひじの内側)に湿疹があれば不可。塗り薬は感染がなければ可。ステロイド内服は治療終了後1か月(傷・湿疹と献血)
花粉症・アレルギー性鼻炎可抗アレルギー薬は当日服用でも可。ステロイド含有薬は3日(花粉症と献血)
甲状腺の病気抗甲状腺薬は不可バセドウ病でメルカゾール、チウラジールなどを服用中は不可。橋本病で甲状腺ホルモン薬(チラーヂン)を服用中の扱いは資料に個別記載がなく、問診で相談
うつ病・不安障害・不眠薬による睡眠薬・抗不安薬は当日服用していなければ可。抗うつ薬・抗精神病薬は服薬が不要になり安定してから最終服薬日を含む3日不可(睡眠薬・抗うつ薬と献血)
てんかん・けいれん性疾患不可抗けいれん薬で抑えられていても不可(採血中の発作による事故防止)
心臓病(心筋梗塞、狭心症、弁膜症、治療を要する不整脈)不可抗不整脈薬、冠拡張薬、心不全薬の服用中も不可(病歴別の基準)
脳卒中・一過性脳虚血発作不可現在異常がなくても不可
血栓症・心房細動などで抗凝固薬・抗血小板薬不可ワーファリン、エリキュース、バイアスピリン、プラビックスなど
がん治癒後5年で可能性治療中・治癒後5年未満は不可。造血器腫瘍は不可。抗がん剤は5年延期
腎臓病状態によるネフローゼ症候群は不可(日本赤十字社)。軽度の腎機能低下や透析中など、それ以外は問診で相談
関節リウマチ・膠原病薬による免疫抑制薬は1か月延期かつ原因の病気が献血可能なものに限る。ステロイド内服は治療終了後1か月。生物学的製剤は問診で相談
潰瘍性大腸炎・クローン病薬と状態による免疫抑制薬・ステロイドの区分に従う。活動期は体調面で見送り
貧血治療中は原則不可鉄剤処方中は原因の病気の観点で判断。ヘモグロビン基準を満たさなければ不可(貧血と献血)
前立腺肥大症薬によるハルナール、ユリーフなどは可。アボダート、アボルブは6か月、プロスカーは1か月延期
乾癬薬によるチガソンは無期延期、アキュテインは1か月、ソリアタンは3年。生物学的製剤は問診で相談
片頭痛可(薬による)鎮痛薬は当日服用していなければ可。予防薬は種類により判断
胃潰瘍・逆流性食道炎可抗潰瘍薬・胃腸薬は服用中でも可。出血を伴う潰瘍の治療中は問診で相談

「持病=献血できない」ではない理由

高血圧、脂質異常症、痛風、逆流性食道炎などは、薬でコントロールされていれば採血による体への負担が小さく、薬の成分も患者さんに影響しないため献血できます。日本赤十字社の公式Q&Aも、降圧薬、高脂血症治療薬、抗潰瘍薬などは服用中でも原則協力できると説明しています。一方、糖尿病の薬物治療中、心臓病、てんかん、抗凝固薬の服用中などは、採血中の低血糖・発作・血圧変動や、止血のしにくさが本人の危険につながるため不可です。制限は病気の重さの順位ではなく、採血という行為との相性で決まっています。

問診での伝え方

  1. 病名と、現在の状態(治療中か、治癒したか、いつからか)。
  2. 薬の名前と目的。お薬手帳があれば見せる。
  3. 最近の発作や入院、検査の異常があれば伝える。
  4. 主治医から献血について言われていることがあれば伝える。

持病を隠して献血しても、当日の検査でわかることは限られており、本人の体に危険が及ぶだけです。逆に、正直に伝えれば「この薬なら大丈夫」「全血ではなく血漿なら可能」といった提案を受けられることがあります。事前に血液センターに電話で確認しておくと、会場で見送りになる無駄足を防げます(薬と献血の一覧・問診で聞かれること)。

主治医に相談したほうがよい場合

献血の可否は健診医が判断しますが、病気の状態そのものは主治医が最もよく知っています。治療中の病気があり献血を検討している方は、受診のときに「献血をしても大丈夫か」を主治医に一言聞いておくと安心です。特に、心臓や血管の病気、自己免疫疾患、腎臓病で通院中の方は、主治医の意見が健診医の判断の助けになります。

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よくある質問

Q. 糖尿病でも献血できますか?
A. インスリンや経口血糖降下薬を使用・服用している場合は献血できません。食事療法のみの場合は問診で相談してください。

Q. 高血圧で薬を飲んでいますが献血できますか?
A. 血圧が安定していて合併症がなければ、複数の降圧薬を飲んでいても献血できます。服用開始直後や量の変更直後は慎重に判断されます。

Q. 喘息持ちでも献血できますか?
A. 過去1か月以内に発作がなくコントロール良好なら可能な場合があります。発作がある、コントロール不良、治療用ステロイド薬の使用中はご遠慮いただきます。

Q. コレステロールの薬を飲んでいますが献血できますか?
A. できます。脂質異常症の治療薬は服用中でも献血できる区分です。抗PCSK9抗体(レパーサ)だけは3か月間できません。

Q. バセドウ病で薬を飲んでいます。
A. メルカゾールなどの抗甲状腺薬を服用中は、原因の病気の観点で献血できません。治癒して服薬が不要になれば改めて判断されます。

Q. アトピーがあると献血できませんか?
A. 軽症で体調がよければ献血できます。採血部位(ひじの内側)に湿疹があると不可で、ステロイドの飲み薬は治療終了後1か月の延期が必要です。塗り薬は感染がなければ当日使用でも可です。

Q. 持病について事前に確認する方法はありますか?
A. 最寄りの血液センターに電話で病名と薬名を伝えると確認できます。会場に行って見送りになる無駄足を防げます。

📚 この記事の主な根拠(内容確認日 2026/08/22)
※本記事は日本赤十字社・厚生労働省などの公開情報にもとづいています(ページ生成 10/19)。採血基準や延期期間は改定されることがあり、献血の最終的な可否は当日の会場で健診医が判断します。最新情報は日本赤十字社・ラブラッドでご確認ください。

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