献血された血液はどう使われる?輸血の用途と、患者さんに届くまで
公開 2026/06/10・更新 2026/09/05
- 輸血用血液の主な用途はがん・白血病などの治療。手術、大量出血、貧血、移植にも使われる
- 献血1回分は赤血球・血小板・血漿に分けられ、複数の患者さんの治療に使われることがある
- 有効期間:赤血球製剤28日、血小板製剤6日、血漿製剤(凍結)1年。血漿は医薬品(血漿分画製剤)の原料にも
- 献血→検査(感染症・血液型・NAT)→製剤化→医療機関へ供給。緊急時は24時間体制で届ける
- 自分の血液が誰に使われたかは知らされない。廃棄は検査不合格や期限切れなどごく一部
血液は患者さんの治療に使われる
献血された血液は、次のような治療で輸血として使われます。日本赤十字社は、輸血用血液の多くががんの治療に使われ、輸血を受ける患者さんの多くは高齢者だと説明しています。
| 用途 | 主に使う製剤 | 解説 |
|---|---|---|
| がん・白血病・悪性リンパ腫の治療 | 血小板製剤、赤血球製剤 | 抗がん剤や放射線で骨髄の造血が落ち、血小板や赤血球が減る。出血と貧血を防ぐために繰り返し輸血が必要 |
| 手術 | 赤血球製剤、新鮮凍結血漿 | 心臓、肝臓、整形外科の大手術など出血を伴う手術 |
| 事故・出産時の大量出血 | 赤血球製剤、新鮮凍結血漿、血小板製剤 | 交通事故、分娩時の大量出血。緊急輸血で命を救う |
| 慢性の貧血 | 赤血球製剤 | 再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、腎不全など |
| 造血幹細胞移植 | 血小板製剤、赤血球製剤 | 移植後、自分の造血が回復するまで輸血で支える |
| 血液凝固の異常 | 新鮮凍結血漿、血漿分画製剤 | 肝臓の病気、DIC、血友病など |
| 早産児・新生児 | 赤血球製剤、血小板製剤 | 小さく分けた製剤で輸血 |
1回の献血が「何人に」使われるか
400mL全血献血の血液は、血液センターで赤血球・血小板・血漿に分離され、それぞれ製剤になります。赤血球製剤は貧血の患者さんに、血小板は白血病の患者さんに、血漿は凝固異常の患者さんや血漿分画製剤の原料に、というように、1回の献血が複数の患者さんの治療に使われることがあります。逆に、大手術や白血病の治療では1人の患者さんに多くの献血者の血液が必要になります。「自分の血液が誰に使われたか」は個人情報保護のため知らされませんが、確実に誰かの治療に使われています(献血からできる血液製剤の種類・血が製剤になるまで)。
血液は「作れない・長く保存できない」
血液は人工的に作ることができず、長期間の保存もできません。有効期間は赤血球製剤で採血後28日間、血小板製剤はわずか6日間(血漿製剤は凍結して1年間)。だからこそ、たくさんの人が継続的に献血することが必要です。血小板製剤は常温で振とうしながら保存するため、白血病の患者さんが毎週必要とする血小板は、毎週の献血で供給されています(血液の有効期間・人工血液はまだ作れない?)。
献血から患者さんに届くまで
- 採血:献血ルーム・献血バスで採血。最初の約25mLは細菌混入を防ぐため検査用に取り分ける(初流血除去)。
- 輸送:保冷して都道府県の血液センターまたはブロック血液センターへ。
- 検査:血液型(ABO・Rh)、不規則抗体、感染症(HBV・HCV・HIV・HTLV-1・梅毒・HEV)の血清学検査とNAT(核酸増幅検査)、生化学検査。
- 製剤化:遠心分離で赤血球・血小板・血漿に分け、白血球を除去(保存前白血球除去)。赤血球と血小板には放射線を照射する場合がある。
- 保管・供給:検査に合格した製剤を温度管理して保管し、医療機関の注文に応じて供給。緊急時は24時間体制で届ける。
- 輸血:医療機関で患者さんの血液と適合試験(クロスマッチ)をして輸血。
採血から供給まで、検査と製剤化を経て数日以内、有効期間の短い血小板製剤は特に急いで供給されます(NAT検査とは・初流血除去とは・輸血前の検査)。
血漿は「薬」にもなる
採血した血漿の一部は新鮮凍結血漿として輸血に使われ、残りは血漿分画製剤の原料になります。血漿分画製剤は、血漿を成分ごとに分離・精製した医薬品で、アルブミン製剤(やけど、肝硬変、ネフローゼ)、免疫グロブリン製剤(免疫不全、川崎病、神経の病気)、血液凝固因子製剤(血友病)などがあります。日本の血液法は国内の献血による自給を基本としていますが、免疫グロブリンなど一部は輸入に頼っており、血漿献血の協力が求められています(血漿献血とは・血液法とは)。
廃棄されることはある?
献血血液のうち、感染症検査で陽性になったもの、検査で異常が見つかったもの、製剤化の過程で規格に合わなかったもの、有効期間内に使われなかったものは廃棄されます。血液センターは需要予測と型別在庫の調整で期限切れを最小限に抑えており、廃棄はごく一部です。「献血が無駄になった」と心配する必要はありません(献血した血が捨てられることはある?)。
だから献血は「いつも」必要
災害時だけでなく、平常時にも毎日多くの血液が使われています。がん治療の輸血は計画的に繰り返され、手術は毎日行われ、出産や事故はいつ起こるかわかりません。一人ひとりの献血が、途切れない血液の供給を支えています。近くの会場は献血マップから探せます(献血が不足しやすい時期・献血者数と献血率)。
よくある質問
Q. 献血した血液はどんな治療に使われますか?
A. 輸血用血液の多くはがんや白血病の治療に使われ、手術・事故や出産時の出血、慢性の貧血、造血幹細胞移植などにも使われます。患者さんの多くは高齢者です。
Q. 自分の血液が誰に使われたか知ることはできますか?
A. 個人情報保護のため知らされません。ただし献血記録から自分の血液が製剤になったことは確認でき、確実に誰かの治療に使われています。
Q. 1回の献血で何人が助かりますか?
A. 400mL献血は赤血球・血小板・血漿に分けられ、複数の患者さんに使われることがあります。一方、大手術や白血病の治療では1人に多くの献血者の血液が必要です。
Q. なぜ献血を続ける必要があるのですか?
A. 血液は人工的に作れず長く保存できないためです。赤血球製剤は28日、血小板製剤は6日しか持たず、継続的な献血が欠かせません。
Q. 献血から患者さんに届くまでどのくらいかかりますか?
A. 採血後、検査と製剤化を経て数日以内に医療機関へ供給されます。有効期間が6日しかない血小板製剤は特に急いで供給されます。
Q. 献血した血液が捨てられることはありますか?
A. 感染症検査で陽性になったもの、規格に合わなかったもの、有効期間内に使われなかったものは廃棄されますが、ごく一部です。血液センターは期限切れを最小限に抑えています。
次にすること
関連ガイド
- 献血からできる血液製剤の種類|輸血用血液製剤と血漿分画製剤・製剤別の用途・国内自給の現状(アルブミン72.6%・免疫グロブリン68.1%)
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