心臓病・がん・脳卒中・てんかんの既往と献血|病歴別の公式基準
公開 2026/08/22・更新 2026/10/10
- 心臓病(心筋梗塞・狭心症・弁膜症・心筋症・治療を要する不整脈・リウマチ熱の心障害):不可
- がん:治療中と治癒後5年未満は不可。治癒後5年で可能性。白血病など造血器腫瘍は経過良好でも不可
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)と一過性脳虚血発作:現在異常がなくても不可
- けいれん性疾患(てんかん):抗けいれん薬で抑えられていても不可。失神の経験も同様
- 血液疾患(血友病・紫斑病・再生不良性貧血・白血病・真性多血症・重症貧血の既往)、梅毒(治癒後も)、ネフローゼ症候群:不可
大前提:献血者自身を守るための基準
厚生労働省の問診票解説によると、血液疾患・心臓病・脳卒中・てんかん等の既往がある方の献血をご遠慮いただくのは「採血の際に副作用が起きたり、献血者の健康に悪影響を与えるおそれがあるため」です。日本赤十字社の「特定の病気にかかったことのある方」も同じ趣旨で、病気ごとに理由を示しています。つまり判断の軸は「血液を分けても大丈夫な体かどうか」で、患者さんへの感染リスクを問う項目(輸血歴、渡航歴など)とは性格が異なります。
病歴別の一覧
| 病気 | 扱い | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 心臓病 | 不可 | 心筋梗塞・狭心症の既往、弁膜症、心筋症、治療を必要とする不整脈。急激な血流変化による悪影響が予測されるため。リウマチ熱による心障害の疑いがある方、ペニシリン投薬中の方も含む |
| 悪性腫瘍(がん) | 治療中・治癒後5年未満は不可 | 治癒後5年を経過すれば可能性あり。造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)の既往は経過良好でも不可。抗がん剤は5年延期 |
| けいれん性疾患 | 不可 | 発作の誘発による採血中の事故を防ぐため。抗けいれん薬で抑制されている場合も該当。失神の経験がある方も同様 |
| 血液疾患 | 不可 | 血友病・紫斑病などの出血性素因、再生不良性貧血、白血病、真性多血症。重症貧血の既往者も対象 |
| ぜんそく | 症状・発作があれば不可 | 採血時の事故リスクが理由。1か月以上発作がなくコントロール良好なら可能な場合あり(持病と献血) |
| 脳卒中・一過性脳虚血発作(TIA) | 不可 | 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を含む。現在異常がなくても対象 |
| 梅毒 | 不可 | 快癒していても献血はご遠慮いただく |
| ネフローゼ症候群、アレルギー性疾患等で服薬中 | 不可(服薬中) | 治癒して服薬が不要になれば改めて判断 |
| 糖尿病 | 薬物治療中は不可 | インスリン・経口血糖降下薬の使用中(持病と献血) |
| 肝炎(B型・C型) | 不可 | ウイルス保有者またはそれと疑われる方。感染症の観点 |
がん:治癒後5年で道がある
日本赤十字社の公式ページでは「治療中の方、治癒後5年経過していない方」が献血をご遠慮いただく対象です。つまり治癒から5年を過ぎれば、献血できる可能性があります。血液センターの服薬基準でも抗がん剤は「5年間延期」とされています。ただし白血病などの造血器腫瘍の既往がある方は、血液そのものの病気であるため、経過良好でも献血できません。既往の内容(部位、治療法、治癒と判断された時期)を問診で伝え、健診医の判断を仰いでください。がん検診で「要精検」となっている段階でも、精密検査で問題がないと確認するまでは見送りです。
心臓病:治療不要の指摘と、治療が必要な病気の違い
対象は心筋梗塞・狭心症の既往、弁膜症、心筋症、治療を必要とする不整脈です。採血による急激な血流変化が心臓に悪影響を与えると予測されるためです。健診で「期外収縮」「不完全右脚ブロック」などを指摘されただけで、医師から治療不要とされている場合は、問診でその旨を伝えれば健診医が判断します。抗不整脈薬、冠拡張薬(ニトログリセリンなど)、心不全治療薬を服用中の方は薬の観点でも不可です(血圧と献血・薬と献血の一覧)。
脳卒中・TIA:現在元気でも不可
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作(TIA)は、現在異常がなくても献血できません。原因となった病気(動脈硬化、動脈瘤など)と採血の影響を考慮したものです。再発予防で抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでいる場合は薬の観点でも不可です。
てんかん:薬で発作が止まっていても不可
採血中の発作による事故を防ぐため、けいれん性疾患のある方はご遠慮いただいています。抗けいれん薬でけいれんが抑えられている方も対象です。「発作が◯年なければ可」という期間基準は日本の公式情報には示されていません。失神を起こしたことのある方も同様の扱いです。小児期の熱性けいれんで、その後発作がなく治療も受けていない場合は、問診で経緯を伝えて健診医の判断を仰いでください。
血液疾患・重症貧血
血友病・紫斑病などの出血性素因、再生不良性貧血、白血病、真性多血症などの方、重症貧血にかかったことのある方はご遠慮いただいています。採血で出血が止まりにくい、あるいは血液を分ける余裕がないためです。一般的な鉄欠乏性貧血で治療が終わり、ヘモグロビンが基準を満たしていれば献血できます(貧血と献血)。
梅毒:治っていても不可
梅毒は治療で治癒しますが、日本赤十字社は快癒していても献血はご遠慮いただくとしています。献血血液の梅毒検査で陽性になった場合は、通知を希望した方に限り親展郵便で知らされます(献血でわかる検査)。
問診での伝え方
- 病名、診断された時期、治療の内容、治癒と判断された時期。
- 現在飲んでいる薬(お薬手帳)。
- 主治医から献血について言われていることがあれば、その内容。
ここに書いた基準は原則です。個々の病状・治療歴による最終判断は当日の健診医が行います。事前に血液センターへ電話で病名を伝えて確認しておくと、会場で見送りになる無駄足を防げます。当日ご遠慮になっても、それは失敗ではありません(献血を断られた日へ)。
献血できない病歴があっても関われること
病気の経験がある方の中には、輸血に助けられた方も多くいます。献血はできなくても、家族や友人に献血をすすめる、付き添いで一緒に行く、自分の体験を伝える、献血推進のボランティアや寄付に参加する、といった形で血液事業を支えられます(輸血歴と献血・持病と献血)。
よくある質問
Q. がんの経験があると一生献血できませんか?
A. 一律ではありません。日本赤十字社の公式基準では、治療中と治癒後5年以内はご遠慮いただきますが、治癒後5年を経過すれば献血できる可能性があります。ただし白血病などの造血器腫瘍の既往がある方は経過良好でも献血できません。
Q. てんかんは薬で発作が止まっていれば献血できますか?
A. できません。抗けいれん剤でけいれんが抑えられている方も、採血中の発作による事故を防ぐためご遠慮いただくのが公式基準です。
Q. 健康診断で不整脈を指摘されただけでもダメですか?
A. 対象は「治療を必要とする不整脈」です。医師から治療不要とされている場合は、問診でその旨を伝えて健診医の判断を仰いでください。
Q. 脳梗塞から回復して元気です。献血できますか?
A. できません。脳卒中と一過性脳虚血発作は、現在異常がなくても献血をご遠慮いただく対象です。
Q. 梅毒を治療して治りました。献血できますか?
A. できません。日本赤十字社は梅毒については快癒していても献血をご遠慮いただくとしています。
Q. 子どもの頃に熱性けいれんがありました。
A. その後発作がなく治療も受けていない場合は、問診で経緯を伝えて健診医の判断を仰いでください。けいれん性疾患として現在治療中の方は献血できません。
Q. 病歴について事前に確認できますか?
A. 最寄りの血液センターに電話で病名と治療歴を伝えると確認できます。会場で見送りになる無駄足を防げます。
- 日本赤十字社「特定の病気にかかったことのある方」
- 厚生労働省「問診票についての解説」(PDF)(確認 2026/10/11)
次にすること
関連ガイド
- 持病があっても献血できる?糖尿病・高血圧・脂質異常症・ぜんそく・アトピー・甲状腺・痛風・うつ病など病気別
- 献血の血圧基準|血圧が低い人・高い人は献血できる?基準値・降圧薬・当日だけ高いとき
- 薬を飲んでいても献血できる?薬の種類別一覧【当日OK・前日まで・3日・不可・延期】
- 輸血を受けた人はなぜ献血できない?期限なしルールの理由・自己血輸血・臓器移植・血漿分画製剤との違い
- 献血と貧血・鉄分|献血で貧血になる?鉄が戻るまでの期間・食事のコツ・女性が気をつけること
- 献血を断られた日へ|恥ずかしくない理由・理由別の意味・次にできること・やってはいけないこと
- 献血できる人・できない人の条件【2026年版】年齢・体重・ヘモグロビン・血圧・見送り例を公式基準で一覧
- 献血の問診で聞かれること|質問の中身・「はい」になりやすい項目と期間・事前Web問診
- 献血は何歳まで?65〜69歳は「60〜64歳の献血経験」が条件。上限69歳・シニアの注意点・表彰制度
- 健康診断・胃カメラ・バリウム・人間ドックの後に献血できる?検査別の答えと「要精検」の扱い