献血の問診で聞かれること|当日あわてないための全体像
公開 2026/06/10・更新 2026/10/10
- 問診票は全国共通。当日の体調から病歴・渡航歴・性的接触まで、患者さんの安全に関わる項目を全員に等しく尋ねる
- 「はい」でも即NGとは限らない。歯科治療3日、予防接種24時間〜4週間、ピアス1〜6か月など期間をあければ解消する項目が多い
- 事実と異なる回答は輸血患者に深刻な影響を及ぼすと日本赤十字社が明記。正直に答えるのが最大の貢献
- プライバシーは厳重に保護される。問診はタッチパネルや仕切りで行われ、口頭で読み上げられない
- ラブラッドなら来場前にスマホで回答でき、会場での時間が短縮できる
問診の位置づけ:検査で見つけられない期間を埋める
献血血液はHIV、B型・C型肝炎などについて感度の高いNAT検査を受けますが、感染のごく初期はウイルス量が少なく検出できない「ウインドウ期」があります。厚生労働省の問診票解説は、この期間を埋めるのが問診への正直な回答だと説明しています。だから問診は「献血者をふるいにかける審査」ではなく、「検査では見えないリスクを本人の申告で補う仕組み」です。問診の内容にもとづいて健診医が最終判断をします。
当日の流れの中での問診
- 受付で本人確認と同意のあと、タッチパネルや紙の問診票に回答する(ラブラッドなら事前回答も可)。
- 体重を測る(2023年から必須。計量台と表示器が分かれていて数値は周囲に見えない)。
- 健診医の問診。回答内容を確認し、必要なら詳しく聞かれる。あわせて血圧・脈拍・体温を測る。
- ヘモグロビン濃度の測定と血液型の事前検査。
問診そのものは数分で終わります。全体の流れは「初めての献血ガイド」へ。
聞かれる内容の全体像
| 区分 | 聞かれること | 「はい」のときの目安 |
|---|---|---|
| 今日の体調 | 体調不良、発熱、睡眠不足、空腹、飲酒 | 37.5℃以上の発熱・当日の飲酒・極度の空腹や睡眠不足は見送り |
| 薬 | 服用中の薬(外用薬・点眼・点鼻・坐薬を含む) | ビタミン剤や一般的な胃腸薬などは可。多くの薬は原則可能だが種類により見送り。健診医が判断 |
| 歯科治療 | 3日以内の出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む) | 治療日を含む3日間は不可 |
| 予防接種 | 最近のワクチン接種 | 不活化24時間、mRNA48時間、B型肝炎2週間、生ワクチン4週間など |
| ピアス・いれずみ | 6か月以内のピアス・いれずみ | 医療機関または使い捨て器具で開けたピアスは最低1か月(部位の状態による)、それ以外(安全ピン・針の共用など)6か月、いれずみ6か月。粘膜貫通ピアスは装着中不可・外した後も最低3日(タトゥー・ピアス) |
| 外傷・咬傷 | けが、動物や人に咬まれた | 動物は治癒後3か月、人は6か月。刺されただけの蚊・ダニは原則可 |
| 海外渡航 | 4週間以内の帰国、マラリア流行地、中南米など | 帰国後4週間。マラリア流行地は1〜3年。地域別に制限あり。欧州などの滞在歴による制限は2026年10月1日に撤廃 |
| 輸血・移植 | 輸血歴、臓器移植歴 | 期限なく不可 |
| 病歴 | 心臓病、がん、脳卒中、けいれん、血液疾患、ぜんそく、梅毒など | 病気により不可、または治癒後の期間で判断 |
| 妊娠・授乳 | 妊娠中、出産・流産後、授乳中 | 妊娠中、出産・流産後6か月未満、産後1年未満で授乳中は不可 |
| 感染症のリスク | 6か月以内の不特定・新たな異性との性的接触、男性どうしの性的接触、麻薬・覚せい剤の使用、HIV陽性など | 該当する場合は献血を控える(検査目的の献血は不可) |
| その他 | 治験参加、プラセンタ注射、前回の献血日 | 治験は観察期間終了まで、ヒト由来プラセンタ注射は最終使用日から3か月(2026年10月1日から)、間隔は種類で異なる |
各項目の詳しい基準は「献血できる人・できない人の条件」にまとめています。薬は「薬と献血」、渡航は「海外旅行と献血」、病歴は「病歴別の公式基準」へ。
「はい」になっても、すぐNGではない
問診で「はい」がついた項目の多くは、期間をあければ解消します。たとえば歯科治療は3日、インフルエンザの予防接種は24時間、海外旅行は帰国後4週間です。逆に「いいえ」と答えたほうが早く献血できるからと事実と違う回答をすると、検査で見つけられない期間の感染リスクが患者さんに渡ってしまいます。日本赤十字社は「事実と異なる回答をされた場合、輸血を受けた患者さんに深刻な状況をもたらす場合があります」と明記しています。
「はい」の理由で当日見送りになっても、それは恥ずかしいことではありません。「いつから献血できるか」をその場で確認して、次の予定を立ててください(献血を断られた日へ)。
プライバシーはどう守られるか
- 日本赤十字社は「問診内容のプライバシーは厳重に保護されますので、正確にお答えください」と公式に案内しています。
- 回答はタッチパネルや仕切りのある席で行い、口頭で読み上げられることはありません。健診医との問診も周囲に聞こえない配慮がされています。
- 体重の数値は周囲に見えない体重計で測ります。
- 個人情報は法令の定めや本人の同意がある場合を除き、目的外利用・第三者提供をしないことが同意説明書に記載されています。
- 問診票に勤務先を書く欄はありません。記入した問診票・献血申込書は法令により返却・廃棄できず、遡及調査など安全のために保全されます。
性的接触に関する質問がある理由と扱いは「問診で性的なことを聞かれる理由」で詳しく解説しています。
事前Web問診(ラブラッド)の使い方
ラブラッドの会員なら、来場前にスマホやパソコンで問診に回答できます。当日は受付でアプリのバーコードを提示し、回答内容を健診医が確認する流れになります。会場での入力時間が減るだけでなく、家で落ち着いて薬の名前や渡航先を確認しながら答えられるのが利点です。回答は当日の体調を反映する必要があるため、前日の回答後に発熱したなどの変化があれば当日その場で申し出てください(ラブラッドの使い方)。
答えやすくする準備
- 薬の名前:お薬手帳か薬の袋、薬局アプリの画面を用意しておく。目的(何の病気に対する薬か)も聞かれます。
- 日付:歯科治療、予防接種、ピアス、海外からの帰国日を思い出しておく。
- 渡航先:国名と滞在期間。マラリア流行地への滞在は年単位で聞かれることがあります(vCJD対策の欧州滞在歴による制限は2026年10月1日に撤廃)。
- 病歴:過去に言われた病名と、治療が終わった時期。
- 前回の献血日:ラブラッドに記録があるので、アプリで確認できます。
問診でよくある勘違い
よくある質問
Q. 問診ではどんなことを聞かれますか?
A. 今日の体調、服用中の薬、歯科治療、予防接種、ピアス・いれずみ、海外渡航、輸血歴、病歴、妊娠・授乳、6か月以内の性的接触など、患者さんと献血者の安全に関わる項目です。全国共通の問診票を使います。
Q. 問診で嘘をついたらどうなりますか?
A. 日本赤十字社は、事実と異なる回答は輸血を受けた患者さんに深刻な状況をもたらす場合があると明記しています。検査で見つけられない期間のリスクを補えるのは本人の申告だけなので、必ず正直に答えてください。
Q. 問診はどのくらい時間がかかりますか?
A. 数分程度です。ラブラッドの事前Web問診を使うと、当日の入力時間を短縮できます。
Q. 問診の内容は他の人に聞こえませんか?
A. タッチパネルや仕切りのある席で回答し、口頭で読み上げられることはありません。プライバシーは厳重に保護されると日本赤十字社が明記しています。
Q. 「はい」が一つでもあると献血できませんか?
A. 項目によります。歯科治療3日、予防接種24時間〜4週間、ピアス1〜6か月など、期間をあければ解消するものが多く、薬は種類によって当日可能なものもあります。健診医が最終判断します。
Q. 事前Web問診はどうやって使いますか?
A. ラブラッドにログインして来場前に回答し、当日は受付でアプリのバーコードを提示します。回答後に体調が変わった場合は当日その場で申し出てください。
Q. 勤務先や職業を書く必要はありますか?
A. 問診票に勤務先を書く欄はありません。ただし高所作業や運転を献血後に予定している場合は、安全のため事前に申し出るよう求められています。
- 日本赤十字社 問診票(2024年版PDF)
- 日本赤十字社「献血の手順」(確認 2026/09/05)
- 日本赤十字社 プレスリリース「英国を含む欧州などの滞在歴に基づく献血制限の撤廃およびヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準を変更します」(2026年9月14日)(確認 2026/10/10)
- 日本赤十字社「6カ月以内にピアスの穴をあけた、またはピアスを付けた方」(確認 2026/10/10)
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