献血した血が捨てられることはある?期限切れ・検査不合格のゆくえ
公開 2026/08/22・更新 2026/09/05
- 使えない血液は「発生する」:有効期限切れ(赤血球28日・血小板6日)、検査不合格、製剤化の規格外など(日本赤十字社)
- 多くは個人情報を切り離して血液製剤・検査法・医療の研究に有効利用(同意した血液のみ)。残りは感染性医療廃棄物として適切に廃棄
- 廃棄を減らす仕組み:需給予測と型別・種類別の受入調整、全国の在庫融通、有効期間の延長(赤血球28日、血小板6日)
- 「自分の血が誰に使われたか」は通知されない。成分ごとの製剤になり複数の患者に届くため
- 献血者ができること:受入調整に協力する、災害時などに殺到しない、ラブラッドで予約して需給を読みやすくする
使えない血液は「発生する」——これは事実
日本赤十字社は「有効期限切れや検査不合格などの理由で輸血や血液製剤の原料として使用できないものが発生します」と公表しています。血液は長期保存できない生ものなので、需給の揺らぎでどうしても期限切れは生じますし、厳格な検査がある以上、不合格も出ます。
| 廃棄になる理由 | 解説 |
|---|---|
| 有効期限切れ | 赤血球製剤は28日、血小板製剤は6日。需要が予測より少なかった、特定の型が余った、災害直後に殺到した、などで期限内に使われない |
| 感染症検査で陽性 | HBV・HCV・HIV・HTLV-1・梅毒・HEVなどの検査で陽性。輸血には使えない |
| 生化学検査で異常 | ALTが高いなど、輸血用の基準を満たさない |
| 製剤化の規格外 | 採血量が規定に満たない(途中で中止した場合など)、バッグの破損、遠心分離後の外観異常、細菌スクリーニング陽性 |
| 献血後情報による除外 | 献血者から問診の訂正や感染の心当たりの申告があり、製造工程から除外 |
| 医療機関での廃棄 | 手術で予定より使わなかった、保管温度の逸脱など。血液センターではなく医療機関側で生じる |
でも「捨てるだけ」ではない
輸血に使えなかった血液の多くは、個人を特定できる情報と切り離したうえで、血液製剤の有効性・安全性や検査法の向上、病気の診断・治療を目的とした研究開発等に有効利用されます(同意した方の血液のみ)。研究課題は厚生労働省の指針にもとづく公募・審査を経て選ばれます。研究に回らないものは、感染性の医療廃棄物として適切な管理のもと廃棄されます(岐阜県赤十字血液センター)。つまり「そのままゴミ箱へ」ではなく、活かせるものは最後まで活かす設計です(献血血液の研究利用と同意)。
廃棄を減らす仕組み
- 需給予測と受入調整:血液センターは医療機関からの需要を予測し、型別・種類別の在庫を毎日管理。余りそうな型の受け入れを調整し、足りない型に協力を呼びかける。「血液不足なのに断られた」はこの調整の結果(在庫調整の仕組み)。
- 全国の在庫融通:ブロック血液センター間で製剤を融通し、地域の余剰と不足を平準化。
- 有効期間の延長:赤血球製剤は2023年に21日から28日へ、血小板製剤は2025年に4日から6日へ延長。期限切れの余裕が増えた(血液の有効期間)。
- 血漿の凍結保存:新鮮凍結血漿は1年、血漿分画製剤の原料はさらに長期保存できるため、全血から分離した血漿は無駄になりにくい。
- 災害時の分散の呼びかけ:殺到を避けて時期を分けることで期限切れを防ぐ(災害時の献血)。
こうした仕組みにより、輸血用血液製剤の期限切れによる廃棄は供給量に対してごく一部に抑えられています。具体的な廃棄率は年度や製剤によって異なり、血液事業の報告で公表されます。
「誰に使われたか」は知らされない
「自分の血が患者さんに使われたら連絡が来る」という仕組みは、公式には案内されていません。血液は遠心分離で成分ごとの製剤になり、赤血球はある患者さんに、血漿は別の患者さんや血漿分画製剤の原料に、というように複数の患者さんに届くこともあるため、個別の使途通知にはなじまないのです。また、輸血を受けた患者さんの個人情報保護の観点もあります。ラブラッドでは献血の記録・検査結果は確認できますが、使い先までは分かりません。「知らないうちに、どこかで誰かを支えている」——それが献血の形です(献血された血液はどう使われる?)。
検査で不合格になったらどうなる?
感染症検査で陽性になった血液は輸血に使われず、同意があれば研究用に、なければ廃棄されます。献血者への通知は、B型・C型・E型肝炎、梅毒、HTLV-1について通知を希望した方に限り、異常が認められた場合のみ親展郵便で行われます(HIVは非通知)。検査に落ちたことで献血者が責められることはありません。ただし、以降の献血ができなくなる場合があります(献血でわかる検査と通知のルール)。
期限切れを減らすためにできること
- 会場の受入調整に協力する:「今日はA型は足りているので血漿献血を」と言われたら、それが今必要とされる形。種類を変えて協力する。
- 災害時などに一時に殺到せず、時期を分散する:殺到した血液は期限内に使い切れない。
- ラブラッドで予約して行く:需給の計画が立てやすくなり、その日の必要量に合った受け入れができる。
- 献血協力のお願いに応える:不足している型・種類の呼びかけに応えるのが、最も無駄のない協力。
- 研究利用に同意する:輸血に使えなかった場合も、研究で次の献血者・患者さんの安全に役立つ(同意は任意)。
献血者の善意を無駄にしないために、血液センターは毎日の需給調整に力を注いでいます。「断られる日」も「呼びかけられる日」も、その一部です(献血が不足しやすい時期・ラブラッドの協力依頼設定)。
よくある質問
Q. 献血した血液が捨てられることはありますか?
A. 有効期限切れや検査不合格で輸血に使えない血液は発生します。ただし多くは個人情報を切り離したうえで血液製剤・検査法・医療の研究に有効利用され、残りは感染性医療廃棄物として適切に処理されます。
Q. 自分の血が誰に使われたか知ることはできますか?
A. できません。使途を献血者に通知する仕組みは公式には案内されていません。血液は成分ごとの製剤になり複数の患者さんに届くこともあり、患者さんの個人情報保護の観点もあります。
Q. 期限切れの廃棄はどのくらいありますか?
A. 需給調整と全国の在庫融通、有効期間の延長により、供給量に対してごく一部に抑えられています。具体的な率は年度や製剤で異なり、血液事業の報告で公表されます。
Q. 検査で不合格になったら連絡が来ますか?
A. B型・C型・E型肝炎、梅毒、HTLV-1は通知を希望した方に限り、異常が認められた場合のみ親展郵便で通知されます。HIVは通知されません。
Q. 期限切れを減らすために献血者ができることは?
A. 会場の受入調整に協力する、災害時などに殺到せず時期を分散する、ラブラッドで予約する、不足している型・種類の呼びかけに応える、研究利用に同意する、といったことです。
Q. 研究に使われるのは嫌です。
A. 献血時の同意説明で研究利用に同意しなければ、その血液は研究には使われません。献血の可否には影響しません。
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