献血した血液は研究にも使われる?同意と不同意の仕組み
公開 2026/08/22・更新 2026/09/05
- 対象:有効期限切れ・検査不合格などで輸血や製剤の原料に使えない献血血液(日本赤十字社)
- 目的:①血液製剤の有効性・安全性・検査法の向上、②病気の診断・治療や国民の健康状態の改善を目的とした研究
- 研究課題は厚労省の指針にもとづく公募・事前評価を経て選定。勝手には使われない
- 献血時に同意説明書で説明され、同意しない場合は研究開発等に使用されない
- 2024年2月1日の受付から、血漿分画製剤の海外輸出(国内供給に支障のない範囲)についても同意項目が追加
輸血に使えない血液が生まれる理由
日本赤十字社によると、献血血液には有効期限切れや検査不合格などの理由で、輸血や血液製剤の原料として使用できないものが発生します。血液は長期保存できない(赤血球28日・血小板6日)ため、需給の揺らぎでどうしても期限切れは生じますし、厳格な検査がある以上、不合格も出ます。また、検査用に採った検体の残りや、製剤化の工程で規格に合わなかったものもあります。こうした血液を「捨てる」のではなく「活かす」のが研究利用の仕組みです(献血した血が捨てられることはある?)。
研究に活かされる
そうした血液は、次の2つの目的の研究開発等に有効利用されることがあります。
| 目的 | 研究の例 |
|---|---|
| 血液製剤の有効性・安全性の向上、検査法の向上 | 新しい感染症検査法の開発と評価、製剤の保存方法の改良、輸血副作用の原因究明、血液型検査の精度向上 |
| 病気の診断・治療や国民の健康状態の改善 | 新しい診断薬・検査薬の開発、病気のバイオマーカーの探索、日本人の血液の基準値の研究、人工血液・再生医療の基礎研究 |
研究課題は、厚生労働省の「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」にもとづく公募・事前評価を経て選ばれます。日本赤十字社が研究課題を公募し、外部の専門家を含む委員会が科学的・倫理的な妥当性を審査し、承認された研究にのみ血液が提供されます。勝手に使われるのではなく、公的なルールの下で運用されています。研究の成果は学会や論文で公表され、次の献血者・患者さんの安全に還元されます。
同意するかは、あなたが選べる
献血の際には、すべての献血者に「献血血液を研究開発等に有効利用する可能性があること」が同意説明書等で説明されます。そして同意しない場合、その血液は研究開発等には使用されません。献血するかどうかと同じく、研究利用も本人の意思が尊重される設計です。同意の有無は献血の可否や扱いに影響しません。「研究には使われたくないが献血はしたい」という選択も尊重されます。同意の内容は受付時の画面や書面で確認でき、その日の献血について判断します。
個人情報の扱い
- 研究に使われる血液は、氏名などの個人情報と切り離され(匿名化)、献血者を特定できない形で提供されます。
- 研究者が献血者に直接連絡することはありません。
- 研究結果が献血者個人に通知されることも原則ありません(個人の診断を目的とした研究ではないため)。
- 問診票や献血記録が研究者に渡ることはなく、必要な場合も匿名化されたデータに限られます。
検体の11年保管(輸血後の安全確認のため)とは別の仕組みで、検体保管は同意の有無にかかわらず行われる安全対策、研究利用は同意した血液だけが対象です(検体保管の仕組み)。
2024年からは「海外輸出」の同意も
2024年2月1日の献血受付からは、血漿分画製剤の海外輸出についても同意項目が追加されました。これは、国内供給に支障のない範囲で、国内で製造された血漿分画製剤(免疫グロブリンやアルブミンなど)を、海外の患者さんの満たされていない医療ニーズに役立てるために輸出することへの同意です。輸血用血液そのものを輸出するわけではありません。日本の血液法は国内自給を基本理念としていますが、製造工程で生じる余剰の製剤を海外の患者さんに届けることは、献血者の善意を無駄にしない選択肢として位置づけられています。同意内容は受付時に確認できます(血液製剤の種類と自給率)。
同意を後から変えられる?
同意はその日の献血について行うもので、次回の献血で改めて判断できます。すでに提供された血液について、後から同意を撤回して研究から除くことは、匿名化されているため技術的に難しい場合があります。研究利用に迷いがある方は、献血のたびに同意画面で確認し、その時点の意思で判断してください。
研究利用が献血者に返ってくるもの
NAT検査の導入、初流血除去の効果検証、血小板製剤の有効期間延長(細菌スクリーニングの評価)など、今の献血の安全性を支える技術の多くは、献血血液を使った研究の成果です。あなたが同意した血液が、次の献血者の安全や、将来の患者さんの治療につながります。もちろん、同意しない選択も同じく尊重されます(NAT検査・初流血除去・人工血液の研究)。
よくある質問
Q. 献血した血液が研究に使われることはありますか?
A. あります。有効期限切れや検査不合格で輸血に使えない血液が、血液製剤・検査法の向上や病気の診断・治療を目的とした研究に有効利用されることがあります。同意した方の血液に限られます。
Q. 研究利用を断ることはできますか?
A. できます。献血時の同意説明で研究利用に同意しなかった場合、その血液は研究開発等には使用されません。献血の可否には影響しません。
Q. どんな研究に使われますか?
A. 新しい感染症検査法の開発、製剤の保存方法の改良、輸血副作用の原因究明、診断薬の開発、日本人の血液の基準値の研究などです。厚労省の指針にもとづく公募・審査を経た研究に限られます。
Q. 研究で私の個人情報が使われますか?
A. 使われません。血液は氏名などと切り離して匿名化され、献血者を特定できない形で提供されます。研究者が献血者に連絡することもありません。
Q. 献血血液が海外に送られることはありますか?
A. 2024年2月から、国内供給に支障のない範囲で血漿分画製剤を海外輸出することについて同意を得る運用が始まっています。輸血用血液そのものの話ではありません。
Q. 同意を後から撤回できますか?
A. 同意はその日の献血について行うもので、次回の献血で改めて判断できます。すでに提供された血液は匿名化されているため、後からの除外は難しい場合があります。
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