世界の献血事情|無償献血の割合と世界献血者デー
公開 2026/08/22・更新 2026/10/10
- 世界の献血は年間約1億2,040万件。その36%は世界人口の15%しか住まない高所得国で集められる(WHO)
- 80か国は血液供給の90%超を自発的無償献血で確保。59か国は50%超を家族・代替ドナーや有償ドナーに依存
- WHOが無償を推進する理由:自発的無償献血者は血液由来感染症の有病率が最も低い最も安全なドナー層
- 世界献血者デーは6月14日。ABO血液型を発見したカール・ラントシュタイナーの誕生日
- 日本は輸血用血液を100%無償献血で自給する恵まれた国。ただし献血率6.2%、若年層減少、血漿分画製剤の一部輸入が課題
世界の献血は年間約1億2,000万件
WHO(世界保健機関)のファクトシート「Blood safety and availability」によると、世界では年間約1億2,040万件の献血が行われています。ただしその36%は、世界人口の15%しか住んでいない高所得国で集められており、地域差が大きいのが現状です。人口1,000人あたりの献血件数は高所得国で約31件、高中所得国で約16件、低中所得国で約6件、低所得国で約5件と、所得水準によって大きな開きがあります。低所得国では献血された血液の多くが5歳未満の子どもや妊産婦の治療に使われ、高所得国では65歳以上の患者さんに使われる割合が高いという違いもあります。
無償献血の国、有償採血が残る国
| 区分 | 国数 | 内容 |
|---|---|---|
| 自発的無償献血が90%超 | 80か国 | 日本、英国、オーストラリア、多くの欧州諸国など。血液供給が安定し安全性が高い |
| 家族・代替ドナーや有償ドナーが50%超 | 59か国 | 患者の家族が「見返り」に血を提供する仕組みや、報酬目当ての売血が残る |
家族・代替ドナー制度は、患者さんが輸血を受ける条件として家族や知人に献血を求めるもので、供給が不安定で、家族が見つからない患者さんが治療を受けられない問題があります。有償ドナーは体調や感染リスクを隠して売血する動機が働くため、安全性の面で課題があります。日本も1970年代までは売血の国でした(日本の献血の歴史)。
WHOが「無償」を推進する理由
WHOが自発的無償献血を推進するのは、倫理だけの問題ではありません。自発的無償献血者は、血液由来の感染症の有病率が最も低い、最も安全なドナー層だからです。報酬目当ての献血では、体調や感染リスクを隠して売血するインセンティブが働いてしまいます。世界保健総会の決議(WHA63.12)は、すべての加盟国に自発的無償献血にもとづく血液事業の構築を求めています。日本の血液法が売血を禁止しているのも、同じ考え方にもとづいています(献血はなぜ無償か・血液法とは)。
「無償」でも血漿は別、という国
輸血用血液は無償献血でまかなう一方、血漿分画製剤の原料となる血漿については有償の採取を認めている国があります。代表がアメリカで、民間の血漿採取センターが報酬を支払って血漿を集め、世界の血漿分画製剤の原料の大きな部分を供給しています。日本を含む多くの国が輸入する免疫グロブリン製剤やアルブミン製剤の原料は、こうした有償採取の血漿に由来するものが少なくありません。日本が血漿分画製剤の国内自給を進める背景には、この構造への依存を減らす意図があります(血液製剤の国内自給の現状)。
海外の採血基準との違い
| 項目 | 日本 | 海外の例 |
|---|---|---|
| 全血の採血量 | 200mL・400mL | 米国・欧州の多くは450〜500mL |
| 全血献血の間隔 | 400mL後は男性12週・女性16週 | 米国は56日(8週)、英国は男性12週・女性16週 |
| 年齢上限 | 69歳(65歳以上は条件つき) | 米国は上限なし(医師判断)、英国も上限撤廃 |
| 体重 | 400mLは50kg以上 | 米国は約50kg(110ポンド)以上 |
| 針の太さ | 18G(1.2mm) | 16〜17Gが使われる国もある |
| 男性どうしの性的接触の扱い | 6か月以内は見送り | 英国・カナダ・米国などは個人のリスク行動に基づく質問に移行 |
日本の基準は体格や疫学データに合わせて設計されており、「海外より厳しい」「緩い」という単純な比較はできません。海外で献血経験がある方は、日本では帰国後4週間の制限があることにも注意してください(日本の献血基準・海外渡航と献血)。
世界献血者デー(6月14日)
毎年6月14日は「世界献血者デー」。ABO血液型を発見したカール・ラントシュタイナー(1868-1943、1930年ノーベル生理学・医学賞)の誕生日にちなんで、2004年にWHO・国際赤十字・赤新月社連盟などが定めた、献血者に感謝する国際デーです。各国でイベントやキャンペーンが行われ、日本でも記念行事やキャンペーンが実施されます。毎年テーマとホスト国が決まり、世界中の献血者に感謝と啓発のメッセージが発信されます。
日本の位置づけ
日本は輸血用血液を100%国内の無償献血でまかなう、世界的に見れば恵まれた国です。NAT検査を世界に先駆けて導入し、輸血後GVHDを放射線照射でゼロにするなど、安全対策でも先進的です。ただし献血率は6.2%で若年層は減少傾向、血漿分画製剤は一部輸入依存と、課題も残っています。無償献血の仕組みは「当たり前」ではなく、先人が作り、今の献血者が支えているものです(日本の献血者数・献血率・NAT検査)。
よくある質問
Q. 世界献血者デーはいつですか?
A. 毎年6月14日です。ABO血液型を発見したカール・ラントシュタイナーの誕生日に由来し、2004年にWHOなどが定めました。
Q. 海外では献血にお金がもらえる国もありますか?
A. あります。WHOによると59か国では血液供給の50%超を家族・代替ドナーや有償ドナーに依存しています。一方、80か国は90%超を自発的無償献血で確保しています。輸血用は無償でも血漿の有償採取を認める国(米国など)もあります。
Q. なぜ無償の献血が推奨されるのですか?
A. WHOによると、自発的無償献血者は血液由来感染症の有病率が最も低い、最も安全なドナー層だからです。報酬目当てだと体調や感染リスクを隠す動機が働いてしまいます。
Q. 海外の献血基準は日本と違いますか?
A. 違います。米国や欧州の多くは1回450〜500mL、間隔は米国で56日、年齢上限のない国もあります。日本の基準は体格や疫学データに合わせて設計されています。
Q. 海外で献血できますか?
A. 国によっては可能ですが、各国の基準と本人確認の方法に従う必要があります。帰国後は4週間、日本で献血できない点に注意してください。
Q. 日本の献血は世界的に見てどうですか?
A. 輸血用血液を100%無償献血で自給し、NATや放射線照射など安全対策でも先進的です。一方で献血率6.2%と若年層の減少、血漿分画製剤の一部輸入依存が課題です。
次にすること
関連ガイド
- 日本の献血の歴史|売血・黄色い血・ライシャワー事件・献血の日・預血・100%献血化・血液法まで年表で
- 日本の献血者数・献血率の統計|年間約499万人・献血率6.2%・年代別・男女別・使う側と支える側のギャップ
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