献血からできる血液製剤の種類|輸血用と血漿分画製剤・国内自給
公開 2026/08/22・更新 2026/09/05
- 輸血用血液製剤:赤血球製剤(28日)、血小板製剤(6日)、新鮮凍結血漿(1年)。患者さんにそのまま輸血
- 血漿分画製剤:血漿からアルブミン・免疫グロブリン・血液凝固因子などを分離・精製した医薬品
- 輸血用血液製剤は1974年以降、献血による国内自給100%(厚労省の血液事業報告)
- 血漿分画製剤は一部輸入依存。令和6年度の自給率はアルブミン72.6%・免疫グロブリン68.1%。凝固第VIII因子は1994年に100%
- 血液法は国内自給を基本理念に掲げる。免疫グロブリンは世界的な需要増で自給率が低下し、血漿献血が重要
血液製剤は大きく2種類
| 区分 | 製剤 | 作り方 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 輸血用血液製剤 | 赤血球製剤(赤血球液-LR) | 全血献血の血液を遠心分離し、白血球を除去 | 手術、事故・出産の出血、慢性貧血 |
| 血小板製剤(濃厚血小板-LR) | 主に血小板成分献血。全血からも | 白血病、がん化学療法、造血幹細胞移植後の出血予防 | |
| 新鮮凍結血漿(FFP-LR) | 血漿成分献血、全血献血の血漿を凍結 | 凝固因子の補充、大量出血、肝臓の病気 | |
| 全血製剤 | 全血をそのまま製剤化 | 現在はほとんど使われない | |
| 血漿分画製剤 | アルブミン製剤 | 血漿からアルブミンを分離・精製 | やけど、ショック、肝硬変、ネフローゼ症候群 |
| 免疫グロブリン製剤 | 血漿から抗体(IgG)を分離・精製 | 免疫不全、重い感染症、川崎病、ギラン・バレー症候群などの自己免疫疾患 | |
| 血液凝固因子製剤 | 血漿から第VIII因子・第IX因子などを精製 | 血友病、その他の凝固異常 | |
| アンチトロンビン製剤、その他 | 血漿から各種たんぱく質を精製 | DIC(播種性血管内凝固)など |
輸血用血液製剤は日本赤十字社の血液センターで製造され、血漿分画製剤は日本赤十字社から原料血漿の供給を受けた製薬会社(日本血液製剤機構など)が製造します。どちらも出どころはすべて献血です(血が製剤になるまで・製剤の有効期間)。
輸血用は1974年から100%献血で自給
厚生労働省の血液事業報告によると、輸血用血液製剤は昭和49年(1974年)以降、献血による国内自給を達成しています。日本国内で輸血される血液は、すべて国内の献血でまかなわれているということです。売血の時代から10年で達成したこの歴史は「日本の献血の歴史」で詳しく解説しています。
血漿分画製剤は一部を輸入に依存
一方、血漿分画製剤は「一部の製剤を海外からの輸入に頼らざるを得ない状況」(厚生労働省)です。血液凝固第VIII因子製剤は平成6年(1994年)に自給率100%を達成しましたが、令和6年度の国内自給率はアルブミン製剤が72.6%、免疫グロブリン製剤が68.1%(厚生労働省・血液事業部会資料)。免疫グロブリンは世界的な需要増(自己免疫疾患や神経疾患への適応拡大)を背景に自給率が低下しており、国内自給を進めるうえで、原料となる血漿の献血が重要になっています。
| 製剤 | 国内自給率 | 備考 |
|---|---|---|
| 輸血用血液製剤 | 100% | 1974年から |
| 血液凝固第VIII因子製剤 | 100% | 1994年に達成(遺伝子組換え製剤を含む) |
| アルブミン製剤 | 72.6% | 一部輸入 |
| 免疫グロブリン製剤 | 68.1% | 世界的な需要増で低下傾向 |
なぜ国内自給が大切なのか
血液法(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律)は、国内で使用される血液製剤は原則として国内の献血により得られた血液を原料とすること(国内自給)を基本理念に掲げています。理由は3つです。
- 安全性:国内の献血は問診・検査・遡及調査が一貫して管理され、感染症の疫学も把握できる。
- 安定供給:輸入に頼ると、海外の需給や政策変更、感染症の流行で供給が途絶えるリスクがある。
- 倫理:海外の有償採血に依存することは、WHOが推進する自発的無償献血の理念に反する。
献血する側が意識したいこと
輸血用も血漿分画製剤の原料も、出どころはすべて献血です。全血献血の血漿も原料になりますが、血漿成分献血なら1回で600mLまでの血漿を採れ、赤血球は体に戻すため2週間後にまた献血できます。時間に余裕があるときは成分献血(血漿・血小板)も選択肢に入れると、より幅広い医療を支えられます。「自分の型は足りている」と言われた日も、血漿は血液型の在庫に左右されにくいため、血漿献血なら協力できることが多いです(血漿献血とは・成分献血と全血献血の違い)。
海外輸出の同意について
2024年2月1日の献血受付から、血漿分画製剤の海外輸出(国内供給に支障のない範囲で、海外の患者さんの満たされていない医療ニーズに役立てるためのもの)についても同意項目が追加されました。輸血用血液そのものの話ではなく、国内で余剰が出た血漿分画製剤を海外に供給する枠組みです。同意内容は受付時に確認できます(献血血液の研究利用と同意)。
よくある質問
Q. 献血の血液は輸血以外にも使われますか?
A. はい。血漿からはアルブミン・免疫グロブリン・血液凝固因子などの「血漿分画製剤」という医薬品が作られ、やけどや免疫の病気、血友病などの治療に使われます。
Q. 日本の血液は自給できていますか?
A. 輸血用血液製剤は1974年から100%国内の献血で自給しています。ただし血漿分画製剤は一部を輸入に依存しており、令和6年度の自給率はアルブミン製剤72.6%・免疫グロブリン製剤68.1%です(厚生労働省)。
Q. 血漿分画製剤とは何ですか?
A. 血漿に含まれるたん白質(アルブミン・免疫グロブリン・血液凝固因子など)を分離・精製して作られる血液由来の医薬品です。製薬会社が日本赤十字社から原料血漿の供給を受けて製造します。
Q. なぜ免疫グロブリンの自給率が下がっているのですか?
A. 自己免疫疾患や神経疾患への適応拡大で世界的に需要が増えているためです。国内自給を進めるには原料となる血漿の献血が重要です。
Q. 血漿献血は本当に必要ですか?
A. 必要です。血漿分画製剤の原料として常に需要があり、血液型の在庫に左右されにくいため、全血を見送られた日でも協力できることが多いです。
Q. 献血血液が海外に送られることはありますか?
A. 2024年2月から、国内供給に支障のない範囲で血漿分画製剤を海外輸出することについて同意を得る運用が始まっています。輸血用血液そのものの話ではありません。
次にすること
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