さい帯血バンクとは?公的バンクの仕組みと骨髄バンク・献血との違い
公開 2026/08/22・更新 2026/10/10
- さい帯血=出産時にへその緒と胎盤に残る血液。造血幹細胞を豊富に含み、白血病などの移植に使う
- 公的さい帯血バンクは造血幹細胞移植法にもとづく許可事業者。全国6か所(北海道・関東甲信越・中部・近畿・兵庫・九州)、約1万本を保管
- 提供は公的バンク提携の産科医療機関での出産に限られる。母子に負担なく無償。36時間以内に凍結保存し、検査合格分のみ移植用に
- 骨髄移植との違い:すでに凍結保存されているためドナーとのコーディネートが不要で、移植までが早い
- 民間(プライベート)バンクは別制度。2019年の法改正で公的バンク以外の不適切なさい帯血提供は禁止
さい帯血とは
さい帯血は、出産のときにへその緒(さい帯)と胎盤に残る血液で、血液のもとになる造血幹細胞を豊富に含みます。通常は出産後に胎盤とともに処分されるものですが、これを採取して保存すれば、白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、先天性の免疫不全や代謝異常などの治療で、骨髄移植と並ぶ造血幹細胞移植の選択肢になります。赤ちゃんが生まれてへその緒を切った後に、胎盤側のへその緒から採取するため、お母さんにも赤ちゃんにも痛みや負担はありません。
公的さい帯血バンクの仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 造血幹細胞移植法(移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律、2014年施行) |
| 事業者 | 厚生労働大臣の許可を受けた公的さい帯血バンク。全国6か所(北海道・関東甲信越・中部・近畿・兵庫・九州) |
| 保管本数 | 約1万本(移植に使える細胞数を満たすもの) |
| 提供元 | お母さんたちからの無償の提供 |
| 提供できる場所 | 基準を満たし、公的バンクと提携した産科医療機関に限られる |
| 採取から保存 | 採取されたさい帯血は36時間以内に凍結保存され、検査(感染症、細胞数など)に合格したものだけが移植用に登録される |
| 移植までの流れ | 患者さんのHLA型と細胞数に合うさい帯血を全国のバンクから検索し、医療機関へ引き渡す |
日本赤十字社は関東甲信越・近畿・九州のさい帯血バンクを運営しており、献血と同じ組織が支えている面もあります。
提供の流れ(お母さん側)
- 妊娠中に、出産予定の産院が公的さい帯血バンクと提携しているかを確認する。提携産院のリストは各バンクの公式サイトにある。
- 提携産院なら、妊婦健診の際にさい帯血提供の説明を受け、同意書に記入する(同意は任意)。お母さんの健康状態や妊娠経過に関する問診がある。
- 出産時、赤ちゃんが生まれてへその緒を切った後、医療スタッフが胎盤側のへその緒から採取する。数分で終わり、母子には何もしない。
- 採取したさい帯血はバンクに運ばれ、細胞数の測定、感染症検査、HLA検査を経て凍結保存。細胞数が足りないなど基準を満たさないものは移植には使われず、同意があれば研究に使われる。
- 出産後数か月以内に、お母さんに健康状態の確認(アンケート)がある。
提供は無償で、費用もかかりません。緊急帝王切開や早産、出産時のトラブルがあった場合は、母子の安全を優先して採取しないことがあります。
骨髄バンクとの違い:移植までが早い
| 骨髄バンク(骨髄・末梢血幹細胞) | さい帯血バンク | |
|---|---|---|
| 提供者 | 登録したドナー(18〜54歳で登録、提供は20〜55歳) | 出産したお母さんと赤ちゃん |
| 提供のタイミング | 患者と適合してから、確認検査・最終同意・採取(数か月) | 出産時に採取し、あらかじめ凍結保存 |
| 移植までの期間 | コーディネートに時間がかかる | 保存済みのためコーディネート不要で短い。急いで移植が必要な患者さんの選択肢 |
| HLAの適合条件 | 厳密な一致が必要 | 多少の不一致でも移植できることが多い(免疫細胞が未熟なため) |
| 細胞数 | 成人の必要量を採取できる | 1本の細胞数に限りがあり、体重の重い患者には不足することがある |
| ドナーの負担 | 入院・採取 | なし |
骨髄バンクとさい帯血バンクは競合ではなく、患者さんの状態と緊急度に応じて使い分けられます(骨髄バンクと献血の違い)。
民間(プライベート)バンクとは別制度
保管費用を払って、わが子や家族のために預ける民間バンクは、公的バンクとは別の仕組みです。民間バンクに預けたさい帯血は本人や家族のためのもので、第三者の患者さんの治療には使われません。2019年施行の法改正で、公的バンク以外による不適切なさい帯血の提供(無許可での第三者への提供や、根拠のない治療への使用)は禁止されました。第三者の患者さんの治療に役立てたい場合は、公的バンク(提携産科)への無償提供が該当します。どちらを選ぶかは家族の判断ですが、「公的バンクに提供すれば誰かの治療に使われる」「民間バンクに預ければ自分の家族のために保管される」という違いを理解しておくことが大切です。
献血との関係
さい帯血の提供は献血ではありませんが、「出産のときだけできる無償の提供」として、献血と同じ善意の仕組みです。妊娠中、出産後6か月以内、出産後1年以内で母乳授乳中の方は献血できませんが、その期間にできる社会貢献がさい帯血の提供です。産後、条件を満たせば献血も再開できます(妊娠中・授乳中の献血・女性の献血ガイド)。
出産予定の方へ
提供を希望する場合は、出産予定の産院が公的さい帯血バンクと提携しているかを確認してみてください。提携産院は各バンクの公式サイトで公開されています。提携していない産院では提供できないため、妊娠初期に確認しておくと選択肢が広がります。お母さんにも赤ちゃんにも負担のない、出産のときだけの社会貢献です(献血された血液はどう使われる?・HLAとは)。
よくある質問
Q. さい帯血の提供はどこでもできますか?
A. できません。公的さい帯血バンクと提携した産科医療機関での出産に限られます。提携産院は各バンクの公式サイトで公開されており、妊娠初期に確認しておくと安心です。
Q. さい帯血の提供にお金はかかりますか?
A. かかりません。公的バンクへのさい帯血提供は献血と同じく無償の善意による提供で、費用もかかりません。
Q. お母さんや赤ちゃんに負担はありますか?
A. ありません。赤ちゃんが生まれてへその緒を切った後、胎盤側のへその緒から採取するため、母子には痛みも処置もありません。
Q. さい帯血移植と骨髄移植はどう違いますか?
A. さい帯血は凍結保存済みのためドナーとのコーディネートが不要で、移植までの期間が短いのが特徴です。一方、1本の細胞数に限りがあり、体重の重い患者さんには不足することがあります。
Q. 民間のさい帯血バンクとは何が違いますか?
A. 民間バンクは費用を払って自分の家族のために預ける仕組みで、第三者の治療には使われません。公的バンクは無償で提供し、全国の患者さんの治療に使われます。2019年の法改正で公的バンク以外の不適切な提供は禁止されました。
Q. 提供したさい帯血は必ず移植に使われますか?
A. 細胞数や検査の基準を満たしたものだけが移植用に登録されます。基準を満たさなかった場合は、同意があれば研究に使われます。
- 厚生労働省 臍帯血関連情報
- 日本赤十字社 造血幹細胞移植情報サービス
- 日本赤十字社「妊娠中、授乳中等の方」(確認 2026/10/10)
次にすること
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