まれな血液型(稀血)とは?頻度1%以下・凍結10年保存の世界
公開 2026/08/22・更新 2026/09/05
- まれな血液型=出現頻度がおおむね1%以下。Oh(ボンベイ)、-D-(バーディーバー)、Jr(a-)、Di(b-)など20種類以上(日本赤十字社)
- Rhマイナス(D陰性)は日本人の約0.5%で、稀血の代表格
- 患者さんには同じ型の血液が必要。一部は−80℃以下で凍結保存し、保存期間10年のものもある
- 献血後の検査で判定されると血液センターから登録のお願いが郵送。登録者には必要時に電話などで協力依頼
- 献血しなければまず分からない。献血は自分の血液型の「深い階層」を知る機会
まれな血液型とは
日本赤十字社によると、まれな血液型(稀血・きけつ)とはおおむね出現頻度が1%以下のもので、Oh(ボンベイ)や-D-(バーディーバー)など現在20種類以上あるとされています。ABO式・Rh式のさらに先にある、細かい血液型の違いです。赤血球の表面には数百種類の抗原があり、ほとんどの人が持っている「高頻度抗原」を持たない人や、逆にごく少数の人しか持たない抗原を持つ人が稀血にあたります。高頻度抗原を持たない人が輸血を受けると、他人の赤血球のその抗原に対して抗体を作りやすく、次からは同じ型の血液しか輸血できなくなります。
日本人に見られるまれな血液型の例
| 型 | 概要 | 日本人での頻度(目安) |
|---|---|---|
| Rhマイナス(D陰性) | Rh式のD抗原を持たない。妊娠時の母児不適合でも重要 | 約0.5%(200人に1人) |
| Oh(ボンベイ型) | ABO抗原の土台となるH抗原を持たない。通常のO型の血液も輸血できない | 数十万人に1人 |
| -D-(バーディーバー型) | Rh式のD以外の抗原(C・c・E・e)を持たない | 数万〜数十万人に1人 |
| Jr(a-) | Jra抗原を持たない。日本人では比較的多い稀血 | 約0.03% |
| Di(b-) | Diego式のDib抗原を持たない | ごくまれ |
| Ko(Kellヌル) | Kell式の抗原をすべて持たない | ごくまれ |
Rhマイナスは欧米では15%前後ですが、日本人では約0.5%と少なく、日本では稀血の扱いです。逆にJr(a-)は欧米ではほとんどいませんが、日本人では比較的多く見られます。人種によって「まれ」の意味が変わるため、日本の血液センターは日本人の分布に合わせて登録と保存を行っています。
マイナス80℃で凍結保存される
まれな血液型の患者さんに輸血が必要になっても、同じ型の献血者はすぐには見つかりません。そこで、まれな血液の一部は血液センターでマイナス80℃以下に凍結保存され、保存期間が10年のものも存在します(通常の赤血球製剤の有効期間は28日)。凍結には赤血球が壊れないようグリセリンなどの保護液を加え、使用時には解凍して保護液を洗い流す処理を行います(解凍赤血球液)。全国の凍結保存血は日本赤十字社が一元的に管理し、必要な患者さんが出たときに全国から融通されます。通常の血液製剤が28日で期限を迎える中、稀血の凍結保存は「10年後の誰か」のための備えです(血液の有効期間)。
登録のお願いが届いたら
- 献血後の検査で「まれな血液型」と判定された方には、血液センターから登録のお願いが郵送で届きます。
- 登録すると、同じ型の患者さんに輸血が必要になったとき、凍結保存血の使用とあわせて、電話などで献血協力の依頼が来ることがあります。
- 依頼を受けたら、都合がつけば指定の会場で献血します。断ることもできます。
- 登録者には、自分の型の凍結保存のための献血を計画的にお願いされることもあります。
血液センターは「患者さんと適合していた場合、電話などによりお願いをさせていただいております」と説明しています。「血液センターから電話が来た」の代表的な用件のひとつです(血液センターからの電話)。
まれな血液型の患者さんに必要なこと
- 予定手術では自己血輸血:自分の血液をあらかじめ貯めて使うことで、適合血を探す必要がなくなります(自己血輸血とは)。
- 家族の検査:血縁者に同じ型の人がいる可能性が高く、家族が献血者になれることがあります。
- 登録献血者への依頼:全国の登録者から適合者を探し、協力を依頼。
- 凍結保存血の使用:登録者が見つからない場合や緊急時に、凍結保存血を解凍して使う。
- 国際的な協力:国内で見つからない極めてまれな型は、国際稀血パネルを通じて海外の血液事業者と協力することもある。
まれな血液型の方が輸血前に抗体を持っていると、適合血の確保はさらに難しくなります。医療機関は不規則抗体スクリーニングとクロスマッチで慎重に適合を確認します(不規則抗体とクロスマッチ)。
自分の詳しい血液型を知るきっかけに
まれな血液型かどうかは、献血しなければまず分かりません。健康診断や病院の血液型検査ではABOとRhDしか調べないのが普通で、稀血は血液センターの詳しい検査や、不規則抗体のスクリーニングで見つかります。献血は自分の血液型の「深い階層」を知る、ほぼ唯一の機会でもあります。もし登録のお願いが届いたら、それはあなたの血液が特定の誰かにとって代えのきかないものだという知らせです(血液型と献血・血液型はいつわかる?)。
登録者の心構え
- 連絡先(電話番号・住所)が変わったら血液センターに知らせる。ラブラッドの登録情報も更新を。
- 依頼はいつ来るか分からない。数年来ないこともあれば、続けて来ることもある。
- 依頼を受けたときに献血できるよう、日頃から採血基準(ヘモグロビンなど)を満たす体調管理を。
- 海外渡航や薬の服用で献血できない期間があれば、依頼時に正直に伝える。
HLA適合血小板献血の登録とは別の仕組みですが、考え方は同じ「顔の見える貢献」です(HLA適合血小板献血)。
よくある質問
Q. まれな血液型とはどんなものですか?
A. 出現頻度がおおむね1%以下の血液型で、Oh(ボンベイ型)や-D-(バーディーバー型)など20種類以上あります(日本赤十字社)。Rhマイナスも日本人では約0.5%で稀血の代表格です。
Q. まれな血液型だとどうやって分かりますか?
A. 献血後の検査で判定された方には、血液センターから登録のお願いが郵送で届きます。健康診断ではABOとRhDしか調べないため、献血が知る機会になります。
Q. まれな血液型の血はどう確保されていますか?
A. 一部はマイナス80℃以下で凍結保存され(保存期間10年のものもあります)、必要時には登録献血者へ協力依頼が行われます。予定手術では自己血輸血も活用されます。
Q. 登録すると何をしますか?
A. 同じ型の患者さんに輸血が必要になったとき、電話などで献血協力の依頼が来ます。凍結保存のための計画的な献血をお願いされることもあります。断ることもできます。
Q. Rhマイナスはまれな血液型ですか?
A. 日本人では約0.5%(200人に1人)で、稀血の扱いです。欧米では15%前後いるため、人種によって「まれ」の意味が変わります。
Q. まれな血液型だと自分が輸血を受けるとき困りますか?
A. 同じ型の血液が必要で確保に時間がかかることがあります。予定手術では自己血輸血、緊急時は凍結保存血や登録献血者からの供給で対応します。医療機関に自分の型を伝えておくと安心です。
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