HPAとは?血小板にも「血液型」がある——HLAとの違い
公開 2026/08/22・更新 2026/10/10
- HPA=Human Platelet Antigen(ヒト血小板抗原)。血小板固有の型で、1959年発見、1990年に国際統一命名法制定(日本赤十字社)
- 問題になる場面:新生児血小板減少症(NAIT)、輸血後紫斑病、HLA適合でも効かない血小板輸血不応
- ABO・Rhは赤血球の型、HLAは白血球・血小板の型、HPAは血小板固有の型。4つは別々の仕組み
- HPA適合血小板は型の合う献血者の血小板から作られる。日本赤十字社が対応
- 献血者にできること:血小板成分献血を続ける、HLA登録に協力する
HPA=血小板固有の血液型
日本赤十字社によると、血小板にも赤血球や白血球と同様に、血小板に固有の血液型があることが1959年の発見以来わかっており、1990年に国際統一命名法としてHPA(Human Platelet Antigen:ヒト血小板抗原)が制定されました。血小板の表面にある糖たんぱく質のわずかな違いによって型が分かれ、HPA-1、HPA-2、HPA-3……と番号で呼ばれ、それぞれに「a」と「b」の型があります(例:HPA-1a、HPA-1b)。血小板は赤血球のABO抗原も少量持っていますが、HPAは血小板だけが持つ独自の型です。
4つの「型」を整理する
| 型 | どの細胞にあるか | 関係する場面 |
|---|---|---|
| ABO型・Rh型 | 赤血球(血小板や血漿にも一部) | 赤血球輸血の適合。すべての輸血の基本(血液型と献血) |
| 不規則抗体(ABO以外の赤血球型) | 赤血球 | 輸血・妊娠でできる抗体。クロスマッチで確認(不規則抗体とクロスマッチ) |
| HLA | 白血球、血小板、体のほとんどの細胞 | 臓器・骨髄移植の適合、血小板輸血不応の主要因(HLA適合血小板献血) |
| HPA | 血小板 | 新生児血小板減少症、輸血後紫斑病、HLA適合でも効かない血小板輸血不応 |
HPAが問題になる場面
| 病態 | 何が起こるか |
|---|---|
| 新生児血小板減少症(NAIT:新生児同種免疫性血小板減少症) | お母さんと赤ちゃんの血小板の型(HPA)が合わず、お母さんの体が赤ちゃんの血小板に対する抗体を作り、胎盤を通じて赤ちゃんの血小板が減ってしまう病気。重症では胎児・新生児の頭蓋内出血の原因になる。赤血球のRh不適合の血小板版 |
| 輸血後紫斑病 | 輸血のあと1〜2週間で血小板が急減し、紫斑(皮下出血)が出るまれな副作用。過去の輸血や妊娠でHPA抗体を持つ患者さんが、その型の血小板を含む製剤を輸血されて起こる |
| 血小板輸血不応 | HLAが適合した血小板を輸血しても効果が得られないケースがあり、その原因の一つがHPAの不適合。HLA抗体とHPA抗体の両方を持つ患者さんには、両方が適合した血小板が必要 |
日本人のHPA型
HPAの型の分布は人種によって大きく異なります。欧米で新生児血小板減少症の主な原因になるHPA-1aとHPA-1bの不適合は、日本人ではHPA-1bを持つ人がごく少ないため起こりにくく、日本人では主にHPA-4bやHPA-5bなど別の型の不適合が原因になります。このため、HPA適合血小板の供給には日本人の型の分布に合わせた献血者の確保が必要で、日本赤十字社が登録献血者のHPA型を調べて対応しています。
HPA適合血小板はどう供給されるか
- 医療機関で、血小板輸血が効かない患者さんのHLA抗体・HPA抗体を検査する。
- HPA抗体が見つかれば、日本赤十字社の血液センターに適合血小板を依頼する。
- 血液センターが、HPA型(とHLA型)の適合する登録献血者を検索し、協力を依頼する。
- 献血者が血小板成分献血を行い、その患者さんのための製剤として供給する。
HPA適合血小板も、もとをたどれば型の合う献血者の血小板です。HPA型は献血者の多くが調べられていないため、HLA登録献血者の中からHPA型の合う人を探すことが多く、登録献血者の層の厚さが供給を左右します。
HLAとHPAの違いを整理
- HLA:白血球や血小板の表面にある型。血小板輸血不応の主要因で、HLA適合血小板献血の登録制度があります。臓器移植や骨髄移植の適合性も左右します。
- HPA:血小板そのものに固有の型。HLAを合わせても効かないときに疑われ、HPA適合血小板が必要になることがあります。新生児血小板減少症の原因でもあります。
患者さんによっては、ABO型・HLA・HPAの3つすべてが適合する血小板が必要になることもあり、数万人に1人の献血者を探す作業になります。
献血者にできること
HPA適合血小板も、もとをたどれば型の合う献血者の血小板です。血小板成分献血を続けること、そしてHLA登録に協力することが、「型が合わなくて困っている患者さん」への一番の支援になります。自分のHPA型を知る機会は通常ありませんが、HLA登録者の中から適合者が見つかったときに、血液センターから協力依頼が届くことがあります。その1本が、輸血が効かずに困っていた患者さんや、お腹の赤ちゃんの出血を防ぐ唯一の手段になるかもしれません(血小板献血とは・血液センターからの電話・まれな血液型の登録)。
よくある質問
Q. HPAとは何ですか?
A. ヒト血小板抗原(Human Platelet Antigen)の略で、血小板に固有の血液型です。1959年に発見され、1990年に国際統一命名法が制定されました。
Q. HLAとHPAはどう違いますか?
A. HLAは白血球や血小板の表面にある型、HPAは血小板固有の型です。HLA適合血小板でも輸血効果が得られない場合に、HPAの不適合が疑われることがあります。
Q. HPAが原因で起こる病気は?
A. 新生児血小板減少症(お母さんと赤ちゃんのHPAが合わない)、輸血後紫斑病(輸血後に血小板が急減)、HLA適合血小板でも効かない血小板輸血不応があります。
Q. 日本人に多いHPA型はありますか?
A. 欧米で問題になるHPA-1bを持つ日本人はごく少なく、日本人ではHPA-4bやHPA-5bなど別の型の不適合が新生児血小板減少症などの主な原因になります。
Q. 自分のHPA型を調べられますか?
A. 通常の献血ではHPA型は調べられません。HLA登録献血者の中から必要に応じて血液センターがHPA型を調べ、適合者に協力を依頼します。
Q. 献血者にできることはありますか?
A. 血小板成分献血を続けること、HLA登録に協力することです。HPA適合血小板も型の合う献血者の血小板から作られます。
次にすること
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