ボトックスで献血できない?美容医療と献血のルール(プラセンタ注射は2026年10月改定)
公開 2026/08/22・更新 2026/10/11
- ボトックス・ヒアルロン酸・医療脱毛に「〇か月献血できない」という公式の個別基準はない。ただし薬剤の注射・点滴を受けた当日は献血不可。施術名と時期を問診で伝え健診医が判断
- 胎盤由来コラーゲン注入(ベビーコラーゲン、ヒューマラジェン等)とヒト幹細胞培養上清液は使用後の献血不可(日本赤十字社Q&A)
- 2026年10月1日から、国内承認のヒト由来プラセンタ注射剤(ラエンネック、メルスモン)は「最終使用日から3か月間は献血を控え、3か月経過後は献血可能」
- 2026年9月30日までは、注射歴があれば回数にかかわらず期間を定めず献血をご遠慮いただいていた(2006年10月10日からの扱い)
- 理由は原料がヒトの胎盤で、vCJDの危険性が理論上否定できないため。感染事例の報告はない
- プラセンタのサプリ・ドリンク・化粧品は使用後も献血できる(日本赤十字社Q&A)。問診で使用状況を申告
- アートメイクは6か月(いれずみと同じ扱い)
ボトックス・ヒアルロン酸・脱毛のあとは献血できない?
ボトックス(ボツリヌス毒素製剤)の注射、ヒアルロン酸注入、医療脱毛について、日本赤十字社・血液センター・厚生労働省の公開資料に「施術後〇か月は献血できない」という個別の基準は見当たりません。公式に個別の記載はないため、施術名・使った薬剤・受けた日を受付と問診で伝え、健診医の判断を受けるのが正しい手順です。そのうえで、公式に決まっているルールは次のとおりです。
| 公式ルール | 当てはまる例 |
|---|---|
| 薬剤の注射や点滴を受けた当日は献血できない(大阪府赤十字血液センター) | ボトックス注射、ヒアルロン酸注入、美容点滴を受けた日。問診票でも「3日以内に薬を飲んだり、注射を受けましたか」と聞かれる |
| 胎盤由来コラーゲン製剤(ベビーコラーゲン、ヒューマラジェンなど)は使用後の献血をご遠慮いただく(日本赤十字社Q&A) | 「コラーゲン注入」を受けた場合は、製剤名をクリニックで確認する。ヒアルロン酸とは別物 |
| 美容関連で使用されるヒト幹細胞培養上清液等は使用後の献血をご遠慮いただく(日本赤十字社Q&A) | 幹細胞培養上清液の点滴・注射・導入など |
| 同種由来の特定細胞加工物(他人の細胞を加工したもの)や再生医療等製品の投与を受けていないこと(厚生労働省の健康診断通知) | 他人由来の細胞を使う幹細胞治療など |
| ヒト由来プラセンタ注射剤は最終使用日から3か月不可(2026年10月1日から) | ラエンネック、メルスモン |
| いれずみ(アートメイクを含む)は6か月不可 | 眉・アイライン・リップのアートメイク |
| 採血部位の皮膚に病変があれば不可 | ひじの内側の脱毛・レーザー後の赤みや炎症(傷・湿疹と献血) |
「ボトックスを打つと献血できない」と言われる理由のひとつに、血液センターの服薬基準表にある「抗毒素(破傷風、毒蛇、ジフテリア、ボツリヌスなど)は投与後3か月間は献血できない」という項目があります(岩手県赤十字血液センターの表)。これは毒素を打ち消すための血清(抗毒素)を投与した場合のルールで、しわ取りなどに使う美容のボトックス(ボツリヌス毒素製剤)とは別の薬です。ボトックスそのものの延期期間は公式に示されていないため、自己判断せず問診で「ボトックスを〇月〇日に打った」と伝えてください。
ヒト由来プラセンタ注射=最終使用日から3か月は献血できない
日本赤十字社は2026年9月14日、国内で承認されているヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤(ラエンネック、メルスモン)の使用歴に関する献血基準を変更すると発表しました。2026年10月1日から、最終使用日から3か月間は献血を控えていただき、3か月が経過すれば献血できます。美容目的でも、更年期障害や肝機能改善の治療目的(保険適用)でも、製剤で判断されます。
| 時期 | 扱い |
|---|---|
| 2026年9月30日まで(旧基準) | 使用歴があれば期間を定めず、基本的に献血をご遠慮いただいていた(2006年10月10日から。血液センターの服薬基準でも「無期延期」) |
| 2026年10月1日から(新基準) | 最終使用日から3か月間は献血を控え、3か月経過後は献血可能 |
過去に注射を受けて献血をあきらめていた方も、最後の注射から3か月以上たっていれば、新基準では献血の対象になります。続けて注射を受けている方は、最後に注射した日から数えます。ほかの条件(体調・服薬・渡航歴など)と、当日の問診・健診医の判断で最終的な可否が決まります。
理由:理論上のvCJDリスク
原料がヒトの胎盤であるため、異常プリオンによる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の危険性が理論上完全に否定できないため、とされています。プリオンには献血血液を検査する方法がなく、問診が唯一のスクリーニング手段です。なお、プラセンタ注射薬によるvCJD感染事例は報告されていません。同じ考え方で、硬膜移植・角膜移植・ヒト由来成長ホルモン注射歴のある方の制限が設けられています。なお、vCJD対策として行われてきた英国を含む欧州などの滞在歴にもとづく献血制限は、2026年10月1日に撤廃されました(CJDと献血・欧州滞在歴と献血)。
2026年10月1日、ルールが変わった経緯
厚生労働省は2026年2月のQ&Aで、この制限を「投与後3か月の延期」へ見直す方針を公表していました。その後、日本赤十字社が2026年9月14日のプレスリリース「英国を含む欧州などの滞在歴に基づく献血制限の撤廃およびヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準を変更します」で、2026年10月1日からの実施を発表しました。同じ日から、欧州などの滞在歴にもとづくvCJD対策の献血制限も撤廃されています。
飲むプラセンタ・塗るプラセンタは?
制限の対象は「注射」です。日本赤十字社のQ&Aは「プラセンタを含むサプリメント、ドリンク、化粧品などについてはこれまで通り使用いただいても献血をお願いできます」としています。ただし、献血受付の問診で使用状況を申告する必要があります。同じQ&Aで、美容関連で使用されるヒト幹細胞培養上清液等や胎盤由来コラーゲン製剤(ベビーコラーゲン、ヒューマラジェンなど)は今回の見直しの対象外で、「これまでと同様に使用後の献血はご遠慮いただきます」と明記されています。
そのほかの美容医療は?
| 施術 | 扱い |
|---|---|
| アートメイク(眉・アイライン・リップ) | いれずみと同じく6か月不可(針で色素を入れるため)(タトゥー・ピアスと献血) |
| ボトックス注射 | 公式に個別基準なし。注射した当日は不可。ボツリヌス毒素製剤は「抗毒素(投与後3か月不可)」とは別の薬。施術名と時期を問診で伝え健診医が判断 |
| ヒアルロン酸注入 | 公式に個別基準なし。注入した当日は不可。問診で伝える |
| コラーゲン注入(胎盤由来:ベビーコラーゲン、ヒューマラジェンなど) | 使用後の献血はご遠慮いただく(日本赤十字社Q&A) |
| 美容点滴(ビタミンC、白玉点滴=グルタチオン、高濃度ビタミンなど) | 公式に個別基準なし。点滴を受けた当日は不可。成分により判断。ヒト由来成分を含む製剤は要確認 |
| 医療脱毛・エステ脱毛 | 公式に個別基準なし。施術部位に炎症・傷があれば皮膚の状態で判断(傷・湿疹と献血) |
| ケミカルピーリング、レーザー治療、ダーマペン | 公式に個別基準なし。施術後の皮膚の炎症が落ち着いてから。採血部位に施術した場合は状態による |
| 糸リフト、二重手術、脂肪吸引などの美容外科手術 | 手術として「種類や時期により判断」。大手術は6か月。出血を伴う処置は問診で申告(手術の後の献血) |
| PRP(多血小板血漿)療法 | 自分の血液を使う施術。公式に個別基準なし。問診で伝える |
| ヒト幹細胞培養上清液(点滴・注射・導入など) | 使用後の献血はご遠慮いただく(日本赤十字社Q&A) |
| 幹細胞治療、エクソソーム製剤 | 他人の細胞を加工したもの(同種由来の特定細胞加工物)や再生医療等製品の投与歴があれば不可(厚生労働省通知)。エクソソーム製剤は公式に個別の記載はありません。何に由来する製剤かをクリニックで確認し、必ず問診で申告 |
「公式に個別基準なし」は「献血できる」という意味ではなく、「施術名と使った薬剤、時期を問診で伝えて健診医の判断を仰ぐ」という意味です。特にヒト由来の成分を含む製剤(プラセンタ、幹細胞、一部の点滴)は慎重に扱われます。
問診での伝え方
- 施術名(プラセンタ注射、ボトックスなど)と、受けた時期。
- 使った製剤の名前がわかれば(ラエンネック、メルスモンなど)。クリニックの説明書や領収書に記載があることが多い。
- 美容目的か治療目的かは関係なく、製剤で判断される。
「美容医療のことは言いにくい」と隠すのが一番よくありません。プリオンは検査で見つけられないため、申告が患者さんを守る唯一の手段です。問診の内容はプライバシーが守られます(問診のプライバシー)。
これから美容医療を受ける方へ
献血を続けたい方は、プラセンタ注射を受けると「最後の注射から3か月は献血できない」ことを知っておいてください(2026年10月1日からの基準。それ以前は期間を定めず献血をご遠慮いただいていました)。3か月より短い間隔で注射を続けている間は、献血できる日が来ません。ボトックスやヒアルロン酸には公式の延期期間が示されていない一方(注射の当日は不可)、アートメイクは6か月、胎盤由来コラーゲン注入とヒト幹細胞培養上清液は使用後献血できない扱いです。施術の前後に献血の予定がある場合は、クリニックで使う製剤名を確認しておくと、問診での申告がスムーズです。
よくある質問
Q. プラセンタ注射を1回だけ受けたことがあります。献血できますか?
A. 2026年10月1日からは、最後の注射(最終使用日)から3か月たっていれば献血できます。国内承認のヒト由来プラセンタ注射剤(ラエンネック・メルスモン)は、最終使用日から3か月間は献血を控え、3か月経過後は献血可能という基準に変わりました(9月30日までは期間を定めず献血をご遠慮いただいていました)。最終的な可否は当日の問診と健診医の判断です。
Q. プラセンタのサプリやドリンクも対象ですか?
A. 対象外です。日本赤十字社は、プラセンタを含むサプリメント、ドリンク、化粧品は使用しても献血できるとしています。献血受付の問診で使用状況を申告してください。
Q. この制限はずっと続きますか?
A. いいえ。2026年10月1日から、期間を定めない制限は「最終使用日から3か月間」に変わりました。3か月が経過すれば献血できます。
Q. ボトックスを打つと献血できないのですか?
A. ボトックスについて「〇か月献血できない」という公式の個別基準はありません。ただし薬剤の注射を受けた当日は献血できません。施術名と打った日を問診で伝え、健診医の判断を受けてください。
Q. ボトックスは「抗毒素」なので3か月献血できないと聞きました。
A. 血液センターの表にある「ボツリヌスなどの抗毒素は投与後3か月不可」は、毒素を打ち消す血清を投与した場合のルールです。美容のボトックス(ボツリヌス毒素製剤)とは別の薬で、ボトックスの延期期間は公式に示されていません。問診で施術名と日付を伝えてください。
Q. ヒアルロン酸を打っていても献血できますか?
A. 公式に個別の基準は示されていません。注入した当日は献血できないため別の日にし、施術名と時期を問診で伝えてください。コラーゲン注入のうち胎盤由来の製剤(ベビーコラーゲン、ヒューマラジェンなど)は使用後の献血不可なので、ヒアルロン酸かコラーゲンかを確認しておきましょう。
Q. 医療脱毛をしていても献血できますか?
A. 公式に個別の基準はありません。施術部位、特に採血するひじの内側に赤みや炎症、やけどがある場合は皮膚の状態で判断されます。施術日と部位を問診で伝えてください。
Q. 幹細胞培養上清液の点滴や導入を受けました。
A. 日本赤十字社は、美容関連で使用されるヒト幹細胞培養上清液等は使用後の献血をご遠慮いただくとしています。製剤名がわかればあわせて問診で伝えてください。
Q. アートメイクをしています。
A. 針で色素を入れる施術なので、いれずみと同じく施術から6か月は献血できません。
Q. 美容点滴を受けた後は献血できますか?
A. 点滴を受けた当日は献血できません。その後は成分により判断されます。ヒト由来成分を含む製剤は慎重に扱われるため、必ず問診で製剤名を伝えてください。
- 日本赤十字社 プレスリリース「英国を含む欧州などの滞在歴に基づく献血制限の撤廃およびヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準を変更します」(2026年9月14日)(確認 2026/10/10)
- 日本赤十字社「よくあるご質問」(確認 2026/10/11)
- 厚生労働省「問診票についての解説」(PDF)(確認 2026/10/11)
- 厚生労働省 献血制限見直しQ&A(2026年2月)
- 大阪府赤十字血液センター「献血いただく前にご確認ください」(確認 2026/10/11)
- 岩手県赤十字血液センター「薬の服用と献血ができるまでの期間」(PDF)(確認 2026/10/11)
- 厚生労働省 通知(薬生発1031第3号・令和4年10月31日)(PDF)(確認 2026/10/11)
- 日本赤十字社 血液事業本部「Hematologic and Biochemical Values in Blood Donors Annual Report 2023」(PDF)(確認 2026/10/11)
次にすること
関連ガイド
- タトゥーは6か月・ピアスは開け方次第|献血を控える期間・アートメイク・粘膜ピアス・理由
- CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)と献血|5つの該当条件・なぜ問診だけなのか・ライオデュラ・欧州滞在歴撤廃・プラセンタ
- 海外旅行・渡航と献血|帰国後4週間・マラリア流行地1〜3年・中南米・欧州滞在歴(2026年10月1日撤廃)の早見表
- 薬を飲んでいても献血できる?薬の種類別一覧【当日OK・前日まで・3日・不可・延期】
- 手術後はいつから献血できる?大手術は6か月・骨折・日帰り手術・内視鏡・輸血を受けた場合
- アトピー・湿疹・傷があると献血できない?ステロイド外用・内服・プロトピックの扱いと部位別ルール
- 献血の問診で性的なことを聞かれる理由|質問20の中身・ウインドウ期・プライバシーの守られ方・正直に答えると何が起こるか
- AGA治療薬と献血|フィナステリドは1か月・デュタステリドは6か月・ミノキシジルは当日OK。理由と個人輸入の扱い
- ピルを飲んでいても献血できる?低用量ピル・LEP製剤・中用量・アフターピル・ホルモン補充療法・治療用ホルモン薬の違い