初流血除去とは?献血の最初の25mLを輸血に使わない理由

公開 2026/08/22・更新 2026/09/05

採血のとき、最初に小さな袋へ血が流れていくのに気づいたことはありますか?あれは安全のための大事な仕掛け、初流血除去です。針を刺した直後の約25mLを別のポーチに採り、輸血用の原料血液には使いません。目的は、皮膚を消毒しても残る毛穴の中の細菌を持ち込まないこと。導入後、期限切れ血小板製剤の細菌培養陽性率は0.17%から0.05%に下がりました。分けた血液は検査用に使われ、無駄にはなりません。
⚡ 30秒でわかる要点
輸血の安全を守る多層防御1問診ウインドウ期対策の最初の砦2初流血除去最初の約25mLを輸血用から外す3検査(NAT等)ウイルス遺伝子を約1億倍に増幅して検出4貯留保管血漿は6か月以上寝かせてから供給5検体11年保管後から再検査できるよう全数保管6遡及調査万一の際は追跡・回収・患者フォロー
前の網をすり抜けても次の網で捕まえる多層設計。各工程の詳細は本文とリンク先の記事で解説しています。
📑 目次
  1. 最初の約25mLは輸血に使わない
  2. 目的:毛穴の中の細菌を持ち込まない
  3. なぜ血小板製剤で特に重要か
  4. 導入時期と効果
  5. 献血者側の体験は変わらない
  6. 安全対策は何重にもなっている
  7. よくある質問

最初の約25mLは輸血に使わない

日本赤十字社は、採血針を刺した直後の約25mLの血液を小さなポーチに採取し、輸血用の原料血液には使わない「初流血除去」を行っています。採血バッグのチューブの途中に小さな袋(初流血ポーチ)がついていて、針を刺すとまずそこに血液が流れ、いっぱいになると本体のバッグへ切り替わります。献血者から見ると「最初に小さい袋に血が入る」のはこのためで、特別な操作や追加の針はありません。分けて採った血液は捨てられるのではなく、血液型・感染症検査・NATなどの検査用の血液として使われます。

目的:毛穴の中の細菌を持ち込まない

皮膚は採血前にしっかり消毒されますが、皮膚表面の消毒だけでは、毛穴(毛嚢)の中や皮膚のひだの奥にいる常在菌までは消毒しきれません。針が皮膚を通るとき、こうした細菌や小さな皮膚片が最初の血液と一緒に流れ込む恐れがあります。最初の部分をまるごと輸血用から外してしまえば、混入のリスクを大きく減らせます。皮膚の常在菌(表皮ブドウ球菌など)は健康な人には無害ですが、免疫力の落ちた患者さんに輸血されると重い感染症(輸血後細菌感染症)を起こすことがあります。

なぜ血小板製剤で特に重要か

赤血球製剤は2〜6℃で冷蔵、血漿製剤は−20℃以下で凍結されるため細菌は増えにくいのですが、血小板製剤は20〜24℃の常温で振とうしながら保存します。細菌にとって増えやすい温度で最長6日間保存されるため、採血時にわずかに混入した細菌が輸血までに増殖するリスクがあります。初流血除去は、この血小板製剤の細菌汚染を減らすために、まず血小板成分献血で導入されました(血液の有効期間・血小板献血とは)。

導入時期と効果

時期内容
2006年10月血小板成分献血で初流血除去を導入
2007年3月全血献血にも拡大
効果導入前後で、期限切れ血小板製剤の細菌培養陽性率が0.17%から0.05%へ低下(日本赤十字社の報告)
2025年7月血小板製剤に細菌スクリーニング検査を導入し、有効期間を4日から6日に延長

初流血除去で混入を減らし、細菌スクリーニングで残った汚染を検出する二段構えにより、血小板製剤の安全性が向上し、有効期間の延長にもつながりました。

献血者側の体験は変わらない

安全対策は何重にもなっている

初流血除去は、器具の使い捨て・皮膚消毒・NAT検査・保存前白血球除去・放射線照射・貯留保管・検体の11年保管・遡及調査と並ぶ安全対策の一つです。献血者が痛みなく協力できる範囲の工夫で、輸血の安全性が着実に積み上げられています。輸血後細菌感染症は世界的にも輸血の重要なリスクとされており、日本の初流血除去と細菌スクリーニングの組み合わせは、その対策として機能しています(献血血液の安全を守る仕組み・NAT検査とは・血が製剤になるまで)。

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よくある質問

Q. 採血の最初に小さな袋に血が入るのはなぜですか?
A. 初流血除去といって、毛穴の中の細菌が混入する恐れのある最初の約25mLを輸血用から分けるためです。その血液は検査用に使われます。

Q. 初流血除去にはどんな効果がありましたか?
A. 導入前後で、期限切れ血小板製剤の細菌培養陽性率が0.17%から0.05%に低下したと報告されています。

Q. いつから行われていますか?
A. 血小板成分献血で2006年10月、全血献血で2007年3月に導入されました。

Q. 分けた血液は捨てられるのですか?
A. 捨てられません。血液型・感染症検査・NATなどの検査用の血液として使われます。

Q. 献血者に追加の負担はありますか?
A. ありません。追加の針や採血時間の延長はなく、最初の約25mLがポーチに入る数十秒が加わるだけです。

Q. なぜ血小板製剤で特に重要なのですか?
A. 血小板製剤は20〜24℃の常温で最長6日間保存するため細菌が増えやすく、採血時のわずかな混入が問題になるからです。まず血小板成分献血で導入されました。

📚 この記事の主な根拠(内容確認日 2026/08/22)
※本記事は日本赤十字社・厚生労働省などの公開情報にもとづいています(ページ生成 10/19)。採血基準や延期期間は改定されることがあり、献血の最終的な可否は当日の会場で健診医が判断します。最新情報は日本赤十字社・ラブラッドでご確認ください。

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