人工血液はまだ作れない?研究の現在地と献血が必要な理由

公開 2026/08/22・更新 2026/09/05

「そのうち人工血液ができるんでしょ?」——研究は本当に進んでいます。人工赤血球(酸素運搬体)は日本でも臨床試験の段階に入り、iPS細胞から血小板を作る研究も進んでいます。でも日本赤十字社の広報によると、実験室で一度に作れる赤血球の量は「血液一滴」程度。輸血1回に必要な量とは桁違いで、実用化は「ずっと先」です。そして血漿や免疫グロブリンのように、そもそも人工的に代替できない成分もあります。「いま」の患者さんを支えられるのは献血だけです。
⚡ 30秒でわかる要点
📑 目次
  1. 公式見解:「血液は人工的に造ることができない」
  2. 研究の現在地
  3. でも、作れる量は「血液一滴」
  4. 人工血液ができても献血が要る理由
  5. 「いま」の患者さんを支えられるのは献血だけ
  6. 研究を支えているのも献血
  7. よくある質問

公式見解:「血液は人工的に造ることができない」

日本赤十字社や血液センターは一貫して「輸血用血液は人工的につくることができない」「現在の医療では、血液を人工的に作ることができないため、献血が必要不可欠」と説明しています。これが現在の医療の大前提です。血液は赤血球・白血球・血小板・血漿という性質の異なる成分の集合体で、それぞれが複雑な機能を持つため、「血液そのもの」を丸ごと作る技術はありません。研究されているのは、赤血球の「酸素を運ぶ」機能や血小板の「止血する」機能を、部分的に代替する製剤です(血液は何でできている?)。

研究の現在地

公開情報にもとづく研究の概況(2026年時点)。詳細は各研究機関の発表による
分野アプローチ段階課題
人工赤血球(人工酸素運搬体)献血血液や期限切れ血液から取り出したヘモグロビンを脂質の膜(リポソーム)で包み、酸素を運ぶ製剤にする。血液型を問わず、常温で長期保存できる可能性日本で臨床試験(人への投与試験)が進行中量産、コスト、体内での持続時間、安全性の確認。原料に献血血液を使う設計のものもある
iPS細胞由来血小板iPS細胞から巨核球を作り、血小板を産生させる国内で臨床研究が行われ、血小板輸血不応の患者さんへの投与例がある1回の輸血に必要な血小板数(数千億個)の量産とコスト
iPS細胞由来赤血球iPS細胞から赤血球を分化・成熟させる基礎研究段階脱核(核を抜く)工程の効率、1回の輸血に必要な2兆個規模の量産
血漿の代替アルブミン製剤の一部は遺伝子組換えで製造可能。凝固因子製剤も遺伝子組換え製剤がある一部実用化免疫グロブリン(抗体の集合体)は人工では作れず、献血血漿が唯一の原料

でも、作れる量は「血液一滴」

日本赤十字社の広報記事によると、実験室レベルで一度に造ることができる赤血球の量は「血液一滴」程度。輸血1回に必要な量とは桁違いで、「それが実現するのは、ずっと先のことになりそうです。だから今は、輸血用血液を確保するために、皆さんの献血が必要なのです」と結ばれています。赤血球製剤1単位(200mL献血由来)には約1兆個の赤血球が含まれます。iPS細胞から赤血球を作る研究では、この量を安定して、安全に、現実的なコストで作ることが最大の壁です。

人工血液ができても献血が要る理由

「いま」の患者さんを支えられるのは献血だけ

血液は長期保存もできないため(赤血球28日・血小板6日)、研究の完成を待つ間も、毎日の献血が必要です。全国で1日平均約3,000人が輸血を受けています。がんの治療、手術、出産、事故——今日輸血を必要とする患者さんに、10年後の技術は間に合いません。未来の技術に期待しつつ、いまできる協力を。近くの献血会場は献血マップから探せます(血液の有効期間・献血された血液はどう使われる?)。

研究を支えているのも献血

人工赤血球やiPS血小板の研究には、比較対象や原料として献血血液が使われています。有効期限切れなどで輸血に使えなかった献血血液が、同意のもとでこうした研究に提供される仕組みがあります。あなたの献血は、今日の患者さんを支えると同時に、明日の技術の材料にもなっています(献血血液の研究利用)。

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よくある質問

Q. 人工血液は実用化されていますか?
A. されていません。人工赤血球の研究は臨床試験段階まで進んでいますが、実験室で一度に作れる量は血液一滴程度で、実用化はまだ先と日本赤十字社が説明しています。

Q. iPS細胞で血液は作れないのですか?
A. 血小板などの研究開発は国内外で進められ、臨床研究で患者さんへの投与例もありますが、輸血医療を献血なしでまかなえる段階にはありません。現在の医療は献血に支えられています。

Q. 人工血液ができたら献血は不要になりますか?
A. なりません。免疫グロブリンなど人工で代替できない成分があり、仮に人工赤血球が実用化されても量産・コスト・安全性の課題があります。人工赤血球の一部は献血血液を原料にする設計でもあります。

Q. 人工血液はどんな場面で使われる想定ですか?
A. 血液型判定前の大量出血、災害、離島や血液が届かない場所など、緊急時の使用が主に想定されています。通常の輸血を置き換えるものではありません。

Q. 研究に献血血液は使われていますか?
A. 使われています。人工赤血球の原料や研究の比較対象として、同意のもとで輸血に使えなかった献血血液が提供される仕組みがあります。

Q. 毎日どのくらいの人が輸血を受けていますか?
A. 血液センターの説明では全国で1日平均約3,000人です。今日輸血を必要とする患者さんに、将来の技術は間に合いません。

📚 この記事の主な根拠(内容確認日 2026/08/22)
※本記事は日本赤十字社・厚生労働省などの公開情報にもとづいています(ページ生成 10/19)。採血基準や延期期間は改定されることがあり、献血の最終的な可否は当日の会場で健診医が判断します。最新情報は日本赤十字社・ラブラッドでご確認ください。

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